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【独占取材】マルディーニは本田への評価を変えたのか?「昨季から模範的だが、リーダーではない」

壊滅的だった昨季から劇的に改善された今季のミラン。そしてここまで6得点と好調の本田圭佑。OBであるパオロ・マルディーニ氏はどう見ているのか? 一部で本田を絶賛している情報もあったがその真相と合わせて聞いた。なお本記事は独占インタビューである。(取材日=2014年11月21日、翻訳◎宮崎隆司)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

「今季のミランはロッカールーム内部のムードを劇的なまでに変えた」

【独占取材】マルディーニは本田への評価を変えたのか?「昨季から模範的だが、リーダーではない」
パオロ・マルディーニ氏【写真:Getty Images】

――今季、ミランは現在(第11節終了時)勝ち点17の7位。壊滅的だったとされる昨季は、同時期(第11節終了時)の成績が勝ち点12の11位。勝ち点比は「+5」。現状のミランをマルディーニはどう見ているのだろうか?

パオロ・マルディーニ「周知の通り、今日のミランはビッグクラブではない。だが“良いチーム”ではある。そして、この良いチームではあるという事実は、そう評価できる材料を備えている証であるからこそ、まだ単に11試合を経ただけとはいえ、それでも決して過小評価に留めるべきではないと私は思う。

 材料は可能性と言い換えることができる。不振に喘ぐ近年には見られなかった可能性が今季のミランにはある。昨季のミランについては、今さら言うまでもないのだが、ロッカールームに結束はなく、むしろそこに集う各人が見ている先はバラバラだった。これでは結果を出せるはずもない。

 だが、今季のミランはそのロッカールーム内部のムードを劇的なまでに変えて見せた。目指す先が過去と比べて高いか低いかなどは問題ではない。大切なのは、チームが一丸となって今季のミランが目指すべき場所へ向かっていくことだ。そのスピリットさえ強固に保たれればチームは必ず、試合を追うごとに成長していく。

 ただ、現実を冷静に判断するための分析も、ポジティブな面を見ると同時に欠くわけにはいかない。今季のミランはチームとしての結束は確かなものにしてはいる一方で、昨季と同じように“技術的な限界”を抱えている。しかもその限界は誰の目にも明らかだ。

 チームのために自らを犠牲にするというスピリットを持つ超一流が揃わなければ偉大なチーム、すなわち“ビッグクラブ”たり得ない。勝てるクラブというのはそういうものだ。それこそ“かつてのミラン”がそうであったように。ところが今は違う。

 技術水準に限界があることは間違いなく、その壁を越えられずにいる。今季のチームは闘ってはいるのだが、今はまだミスがあまりにも多い。もちろん、それを克服しようとする意思が間違いなくあるからこそ私は今季のミランに小さくはない期待を抱くのだが、技術水準に限界があるのであれば、やはり、今よりもさらに強固な結束を築き上げることが求められる。

 もっとも、ここまでミランを変えてみせたのは何よりも監督であるピッポ(・インザーギ)の功績であって、そのミランを知り抜く彼が私の言う“結束”の意味を知らないはずがないのだから、これから先も間違いなく彼らは件の壁を越えるための努力を続けていくだろう。

 繰り返す。今季のミランはなおもビッグクラブではない。しかし闘うスピリットならば高いレベルで備えている。

 もちろん今はまだユベントスやローマの域には程遠い。だが、この調子で成長を続けていけば、今季終盤には間違いなくひとつ上の水準にチーム全体として達しているはずだ」

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