強気な姿勢を崩さないFIFA
ヨーロッパ各国リーグ側はリーグ戦を早めに終え、5月末からのワールドカップ開催を希望しているが、5月末でも6月でも、問題となる猛暑の気候は免れないため、この提案が叶う可能性は低い。
実際、11-12月以外にも1月案や4月案も出されたが、1月は冬のオリンピックと重なり、4月は多くのイスラム教徒にとって、ラマダンの時期にあたるなどの弊害があり、現実的には猛暑に耐えてワールドカップを戦うか、欧州大会を犠牲にするかの二択しかないというのが現状だろう。
また、ヨーロッパ各国リーグ全体が、抗議しているものの、欧州大会をオーガナイズする組織サイドのUEFAが今回のFIFAの提案を受け入れており、欧州大会をそれに合わせて調節することも可能だとの見方を示しているのも12月案を後押しする結果となっている。
一方、FIFAサイドはワールドカップの日程が冬になるからといって、「なぜクラブに経済補償をしなくてはならないのか。クラブ側と合意して、(選手を輩出するクラブに)2010年は全利益中の4000万ドル(約48億円)を、2014年には7000万ドル(約84億円)を支払った」のだから、2022年まで7年ある準備期間でクラブ側が処理するようにと強気の姿勢を崩していない。
アラブマネーとサッカービジネスとのバランスをとるために、最終的には現在の提案が通ることになるのではないかと推測するが、ここで一番心配なのは選手への体の負担だ。
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