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香川真司 9年前

ドルトムント、3発完勝も選手は「辛勝だった」…指揮官が懸念した“番狂わせの可能性”

text by 本田千尋 photo by Getty Images

トゥヘル監督が懸念した“番狂わせの可能性”

ドルトムント、3発完勝も選手は「辛勝だった」…指揮官が懸念した“番狂わせの可能性”
ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督【写真:Getty Images】

 ドルトムントはこうしたガバラFKの戦術に序盤は苦しんだ。トゥヘルは振り返る。

「もし我々が今日のように多くのゴールチャンスを敵に与えてしまったら、相手は番狂わせを演じることが可能だと考え始めるだろう。我々を打ち負かすことが可能だ、とね。それは我々が避けたかったことだ」

 しかし19分にアントノフが左サイドを抜け出そうとしたカウンターには、ソクラティスとギンターがしっかり対応する。BVBはガバラFKのやり方に慣れてくる。「避けたかったこと」を、実際に遠ざけていった。

 そして30分の左サイド。ロイスにボールを渡して、香川がペナルティエリア内に走り込む。ガバラのDFが引きつけられる。わずかな隙をついてロイスがオーバメヤンにパスを出し、右足を振り抜く。1-0。

 トゥヘルは「オーバメヤンが今夜の勝利の道を敷いた」と言う。さらに37分の左サイド。香川とのワンツーからオーバメヤンがエリア内に切り込む。右足で押し込む。2-0。

「3つのゴールを奪えて幸せだよ」(オーバメヤン)

 さらに72分のセットプレー。ロイスの右CKから、ベンダーがダイレクトボレーを打つ。GKベゾトスニーが弾く。オーバメヤンが詰める。3-0。

 後半のアディショナルタイムに、ドドに1点を返されたが、最終的にドルトムントがガバラFKを3-1で下した。序盤は敵の戦術に苦しんだが、90分間でのボール支配率は68パーセントを記録する。

 3-1というスコアも含めて、数字の上では完勝に見える。ドルトムントは勝ち点を7に伸ばした。グループCの首位を維持する。

 それでもトゥヘルは「ビハインドを負わなくてラッキーだった」と語る。

 もしガバラFKの1点が先に決まっていたら、試合の行方は違ったものになっていたかもしれない。番狂わせの可能性は、トゥヘルも認めるところだ。

 アゼルバイジャンのアウェイを制した、BVBの辛勝=完勝だった。

【了】

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