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EURO2016 8年前

ドイツ、“脱ゲッツェ”で濃くなる“ペップ色”。トゥヘル・ドルトムントとの戦術的混淆

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ウイングに見られる“ペップらしさ”

ユリアン・ドラクスラー
ユリアン・ドラクスラー【写真:Getty Images】

 ゲッツェが外れたことは、“ペップらしさ”の証なのかもしれない。グアルディオラ前バイエルン監督は、昨季、ゲッツェを構想外とした。もちろんレーブは今大会でゲッツェを構想外にしたとは一言も言っていない。しかしゲッツェがピッチを去ったことで、ドイツ代表は、よりペップ・バイエルンらしくなった。

 メンバーは、ほぼ半数がバイエルンの選手たちだ。クロースは元バイエルンの選手で、フンメルスは昨季ドルトムントに所属したが、監督トゥヘルはペップを敬愛している。強引かもしれないが、フンメルスもペップの系列として差し支えないだろう。

 そしてスロバキア戦における何よりの“ペップらしさ”は、ウインガーを最大限に活かそうとしたことだ。ドラクスラーは、右に左にポジションチェンジを繰り返しながら、ドリブルで果敢に仕掛けた。開始6分には、早々に右サイドでFKを獲得している。24分には左サイドでヘクトルからパスを受けると、ドリブルから切り返してクロスを入れる。エジルのフィニッシュに繋がるチャンスを演出した。レーブは、ドラクスラーに「勇気を持ってプレーし、スペースを突くように」要求したのだという。

 もっとも、“ペップらしくない”ところもある。ドイツ代表の両SBは、インサイドにポジションを取らない。そのまま前に高い位置を取る。この辺りは昨季のドルトムントに似ていると言えそうだ。それでも両SHが内側に絞り、中央に人数を掛けて数的優位を作ろうとし、またそれによってカウンターに備えようとするコンセプトは、ペップに共通するところである。

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