フットボールチャンネル

EURO2016 8年前

無策の指揮官が招いたEURO惨敗。イングランド代表は国家同様にさまよい、再生は茨の道【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

選手に伝染したホジソンの“楽観”

ホジソン
ロイ・ホジソン監督の“なんとでもなる志向”は崩壊した【写真:Getty Images】

 しばらくしてこう考えてみた。第二戦・対ウェールズのヒーロー、ヴァーディーとスタリッジをスロヴァキア戦では頭から使ってみたが、パッとせず、結果が出なかった。ララーナは疲れとひょっとしたらマイナーな故障でもあって大事を取った。事前の会見でケインは「不調」を否定し、批判を覆してみせる自信を垣間見せた。

 なら、それを信じよう。相手はアイスランド、チームをあれこれいじることもない。ララーナとヴァーディーは温存、展開に応じて切り札に起用すればいい――。きっとホジソンはそう考えたのだ、と。

 展開次第で。それがホジソンのキーワードだったのではないか。なにしろ、繰り返すが、相手はアイスランドだ。トリッキーで苦手のポルトガルでも、闘志を漲らせて当たってくる北アイルランドでもない。展開次第で、修復なり手当てなり、なんとでもなる!

 そんな青写真がもろくも崩れ去ったのは周知のとおり。まさに、その「展開」が裏目に出てしまった。まず、悪いことに、思わぬ先制点(PK)が早々と転がり込んできた。その立役者こそは、ウェールズ戦以来メディアが疑問視するスターリング。それ見たことか、行ける、自分は間違っていない、後2点ほど追加してこれはもう完勝だ…。

 おそらくは、そんなホジソンの楽観が以心伝心、ピッチ上のルーニー以下のイレヴンにも感染していたのだと思う。でなければ、あんな何でもないクロスの弾道を漫然と眺めたあげく、易々とフリーヘダーの同点ゴールを許したはずがない。

 アイスランド側にしてみれば、なんだ、自分たちの得意パターンで“なんとでもなりそう”じゃないか!

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top