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香川真司 7年前

ドルト勝利の裏で香川が“蚊帳の外”だった理由。バイエルン戦で見えた戦術家トゥヘルの真髄

ボルシア・ドルトムントは20日のブンデスリーガ第11節で王者バイエルン・ミュンヘンに今季初黒星をつけた。会心の勝利を演出した戦術家トーマス・トゥヘルの狙いはどこにあったのか。そして蚊帳の外に追いやられた香川真司がポジションを取り戻すには何が必要なのだろうか。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

狙い通りだったドルトムントの先制ゴール

オーバメヤン
オーバメヤンのゴールはドルトムントの戦術が見事に機能した場面だった【写真:Getty Images】

 王者が陥落した。2016年11月20日のブンデスリーガ第11節、ボルシア・ドルトムントはホームにバイエルン・ミュンヘンを迎える。

 ドルトムントのトーマス・トゥヘル監督は[5-1-2-2]の布陣を採用する。ソクラティス・パパスタソプーロス、マルク・バルトラ、マティアス・ギンターの3バックに、マルセル・シュメルツァーとウカシュ・ピシュチェクの左右両ウイングバック。ワンボランチにユリアン・ヴァイグル、アンドレ・シュールレとマリオ・ゲッツェの左右インサイドハーフ、そして2トップにアドリアン・ラモスとピエル=エメリク・オーバメヤンだ。攻撃時にはウイングバックが高い位置を取り、[3-1-4-2]のような形になる。

 昨季ブンデス王者に対する積極的な姿勢は、既に8月のドイツ・スーパーカップから見られたが、今回の対戦でもトゥヘルは先手を取ろうとした。決して5バックで引いて、後手に回ろうとはしない。3バックが両サイドに開いて幅を取ることによって、左右両ウイングバックは積極的に高い位置を取ることができる。そしてインサイドハーフや2トップと絡んで、厚みのあるサイドアタックが可能だ。トゥヘルは、ペップ・グアルディオラほどにはカルロ・アンチェロッティを恐れていないようである。

 どこでどのようにボールを奪うのか曖昧な守備をするバイエルンに対し、前半はドルトムントが主導権を握った。ボールを奪えばサイドに運ぶことを徹底する。やはりバイエルンはサイドアタックを仕掛けられると、DFラインがバラついてしまい、バイタルエリアにスペースが生まれやすい。

 11分のオーバメヤンの先制ゴールは、右に大きく流れたゲッツェのクロスから生まれた。ファーサイドのラモスが競り、さらにシュールレが競ったボールを、まさにバイタルエリアでオーバメヤンが落として、ピシュチェク、再び右のゲッツェと繋ぐ。最後はゲッツェの折り返しにオーバメヤンが触って、ゴールを決めた。

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