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日本代表 5年前

日本代表のW杯8強入りが難しい理由。歴史を変えるには? 2つの選択肢と森保Jが歩む未来【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Shinya Tanaka

森保監督による継続

 森保一監督はロシアワールドカップのチームの「継続」から始めている。

 メンバーは替わっているが、プレースタイルはロシアでの日本がベースだ。フォーメーションも4-2-3-1のまま。ミドルプレスを主体に適宜にハイプレスに移行する4-4-2の守備。ショートカウンターと後方の位置関係変化によるビルドアップ、ショートパス主体のコンビネーションとドリブル突破を組み合わせた攻撃。ロシアで披露した「日本らしい」特徴はそのままだ。

 メンバーが替わっているのに、チームとしてのプレーぶりは変わっていない。これは均質型らしいところで、例えば香川真司が南野拓実になっても、香川と南野の特徴がもともと似ているので大きな変化は起こらないわけだ。チームとしても、いつ、何をすべきかのコンセンサスをとりやすく、細かく約束事を詰めなくてもまとまる。簡単にいえば、「普通にサッカーをやればいい」という条件さえ用意すれば、いわば勝手にまとまる。

 ロシア大会までの日本は「日本らしさ」を探していた。それを外国人監督に見つけてもらおうとしていた。ところが、それはもともとそこにあった。まだしっかり定義されていないのだが、とりあえずすでに「ある」ことが確認されたのがロシア大会であり、ある意味、西野朗監督が残した最大の功績かもしれない。

 森保監督はその財産を投げ捨てる愚は犯さなかった。サンフレッチェ広島では可変式の3バックを使っていて、森保監督の代名詞のようになっていたが、これも前任者だったミハイロ・ペトロヴィッチ監督のやり方を踏襲したもの。ミシャ時代には1度も届かなかったリーグタイトルを森保監督は3回も獲っている。二代目としての資質が抜群であり、日本代表でもその点では同じ立場にあるわけだ。継続、融合、熟成には定評がある。

 ただし、ロシア大会のままの日本ではベスト8の壁を越えるのは困難なのだ。そこに新たなものを積み上げる仕事が森保監督には課されている。

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