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時代の終焉か? “バルサであること”に失敗したチームの未来

text by 西部謙司 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ブスケツの代わりになれなかったソング

 バイエルンは前線からプレスをかけ、ディフェンスラインも高い位置に保とうとしていたが、バルサ陣内でボールを取れていたわけではない。結局のところ、ラインは下がっている。バルサの中盤までのパスワークが寸断されたわけではない。ポゼッションが伸びなかったのは、そこから先に問題があったからだ。

 最も大きいのは、押し込んだ後の前からのプレスが機能しなかったこと。バイエルンのパス回しにいなされていた。これで早期のボール回収はメドが立たなくなり、バルサの勝利の方程式は一気に崩壊している。

 第2レグに関しては、ブスケツの欠場が響いた。代役のソングはポジションが低すぎた。ディフェンスラインに吸収されそうなぐらい低い位置にいて、プレッシングに加勢していない。

 そもそも攻撃時に後方でボールの預けどころになれるポジションにいなかった。攻撃に参加していないので、プレスにも参加できなかったと言える。いつもなら、ブスケツがボールを狩りに行くタイミングでも、ソングははるか後方に待機していた。

 圧力不足の前方プレスは、バイエルンにとってはむしろ有り難かったに違いない。寄せてくるのを外して、やすやすとカウンターに転じることができた。あのプレスなら、むしろやらないほうがマシだっただろう。

 ソングが後方に残ったのはCBの守備に不安を感じたからなのか、それとも前に出ても取り切れないと判断したのかはわからないが、どちらにしても中途半端すぎた。第1レグ0-4の結果を踏まえれば、前から潰しに行くしかないと思われるが、それが出来ないならプレスの中止を伝えないといけない。

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