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アジア 11年前

中国サッカーに未来はあるか?(その3)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

迷走し続ける上海申花

中国サッカーに未来はあるか?
申花の練習施設にサングラス姿のアネルカが登場【写真:宇都宮徹壱】

 試合翌日、上海中心部から車で40分ほど離れた、申花の練習施設を訪れてみた。中国超級では、試合翌日の午前に同一カードのサテライトの試合が行われ、出番がなかった選手には調整とアピールの場となる。しばらく見学していると、サングラス姿のアネルカが登場。つきそいの2人は、イングランドとフランスからやってきた新しいコーチらしい。若い選手のプレーを見ながら、あれこれ語り合っている姿を見ていると、選手兼任の指導者としてチームを率いる気持ちは、それなりに強いように見受けられる。

 その後の報道で、試合当日のティガナの動向が徐々に明らかになった。申花はその日、試合会場の上海虹口足球場に向かうべく、この練習施設からチームバスで移動することになっていた。ところが、選手全員がティガナと一緒のバスに乗ることを拒否。そのためティガナは、仕方なくバスから降りて、ひとりタクシーでスタジアムに向かうことになる。

 試合会場に到着後、ティガナはロッカールームでなく、なぜかVIPルームに通された。

「なぜVIPルームなのだ? 私は監督の仕事をするためにここに来ている」と主張するティガナに対し、申花のスタッフは「貴方がロッカールームに行けば、選手は試合に集中できなくなる」とにべもない。それでいて、メンバー表へのサインを求めるスタッフに対し、当然ティガナは断固拒否。結果として、スタッフが「代理」としてサインすることとなった。

 ティガナはチームをコントロールできず、そしてクラブはティガナをコントロールできずにいる。申花の深刻な状況を示すエピソードである。

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