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Jリーグ 10年前

“背水の陣”を制したカマタマーレ讃岐。Jクラブとして確かな未来を築いていけるか?

ガイナーレ鳥取を破り、J2昇格を決めたカマタマーレ讃岐。入れ替え戦、彼らが勝利出来た要因はどこにあるのか? そして財政面での懸念がある中で、Jクラブとして未来を築いていけるのか?

text by 寺下友徳 photo by Tomonori Terashita

四国フットボール界にとって歴史的な「2013.12.8」

「2013.12.8」

“背水の陣”を制したカマタマーレ讃岐。Jクラブとして確かな未来を築いていけるか?
創部56年目でJ2昇格の歓喜に沸く讃岐【写真:寺下友徳】

 この日は今後、長きに渡り四国フットボール界の歴史に刻まれることだろう。徳島ヴォルティスは聖地・国立競技場で四国初のJ1昇格。そしてカマタマーレ讃岐はアウェイ・とりぎんバードスタジアムで初のJ2昇格。

 もちろんJ2・4位からJ1昇格プレーオフを勝ち抜いた徳島の偉業は高く評価されるべきだが、それと並ぶほどにホーム&アウェイ方式の「J2・JFL入れ替え戦」でJ2鳥取に対峙したJFL2位・讃岐の戦いもまた見事だった。

 第1戦では前半は鳥取の動向をしっかり見極め、後半に入ると47分に先輩・木島良輔の左クロスを後輩・高橋泰が「枠に収めるように当てて」決めるという、帝京高出身強力2トップの連携で先制。

 北野誠監督いわく「点を取った後の入りで右サイドでのスローインに準備ができず」、3分後にアウェイゴールを許す痛恨事はあったが、どんな場面でもプレーを止めない集中力でドローに持ち込むことに成功。加えて「意図的にこぼれ球を拾うことができた」(ボランチ山本翔平)戦術眼は鳥取と伍しても互角に渡り合えるレベルにあった。

 そして運命の第2戦。キックオフから讃岐はホームの鳥取を圧倒する。18分に木島が奪ったPKは「気持ちが逃げていた」ことから失敗に終わるも、20分には山本のクロスを高橋が「ヘッドで突っ込んで入ればいいと思ってボールだけ見て」先制ゴール。その後も先生直後、CKから鳥取右MF森英次郎に際どいダイレクトシュートを許した他は、全く危なげない前半45分だった。

 ただそこには確かなプロセスが存在する。鳥取を凌駕した理由は試合後、まずは指揮官の口から明らかにされた。

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