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ブラジルW杯の“恵まれた組”に歓喜するフランス。選手・監督・メディアに見える大いなる慢心

text by 小川由紀子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

まったく楽観視していない国民

 しかも現代表は、相手から先制フックを食らい、追う立場に立たされたことで奮起して反撃、という勝ちパターンが多い。スイス、エクアドル、ホンジュラスはいずれもフランスをグループ最強と認めた上で向かってくるだろう。

 反撃ではなく、最初から強者として迎え撃つゲーム運びでどう立ち回れるか。そしてもうひとつ、彼らにとって未知の対戦相手である中南米の2国は曲者だ。

 エクアドルとは過去に1度、2008年に親善試合をしている(2-0でフランスが勝利)が、ホンジュラスとはまだ一度も交えたことがない。

「我々が素晴らしいチームだということを思い知ることになるでしょう」と語ったホンジュラスのスアレス監督の言葉には、妙に説得力があった。

 抽選会のあと調査会社Ifopが行ったアンケートでも、「フランスは第一リーグを突破できる」の問いに“ウイ”と答えたのは、「必ずできる」26%、「たぶんできる」39%を合わせて65%と、思ったよりも少ない数字だった。

 前回の南アフリカ大会のときは、プレーオフのアンリのハンド事件で暗い空気が漂っていたにもかかわらず、組み分けが決まったとたん「優勝あるぞ!」という楽観ムードに一転。その変わり身の早さにヨソ者はおののいたものだが、さすがに「負のどんでん返し」が身に染みたのだろう。今回は国民ははるかに冷静だ。

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