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W杯で目指すは名誉ある敗退? 圧倒的に期待値が低い豪州代表の実情

text by 植松久隆 photo by Hisataka Uematsu

チームの要、ブレシアーノの不遇

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ケーヒルらのベテランは順当に選出【写真:植松久隆】

 ここ数年のオーストラリア代表を語るときに、いわば“枕詞”として付いて回ったのが、世代交代の遅れ。監督が代わったことで、その歯車は自然な流れとして、一つ大きく回った。

 監督の構想に入っていたにも関わらず、コスタリカ戦を前に自ら代表引退を表明したシュウォーツァーは除き、これまでの代表の主力級であったアレックス・ブロスケ、ササ・オグネノブスキ、ルーク・ウィルクシャーなどの名前は、コスタリカ戦の代表メンバーに含まれなかった。

 その一方で、日本でもお馴染みのジョッシュ・ケネディやティム・ケーヒルと言ったベテラン選手は順当に選出され、彼らは本大会でも欠かせぬ主力になる。ケネディの高さ、ケーヒルの決定力という要素は、すぐには代えが利かないものだけに、監督がそれらの大きな武器を自ら切り捨てるとは到底思えない。

 チーム編成上の大きな懸念は、チームの攻守の要となるよう期待されている二人のベテランが抱える問題にある。サッカルーズの中盤で、唯一クリエイティビティを演出できる貴重な存在であるマーク・ブレシアーノだが、彼は予想もしていなかったトラブルに巻き込まれてしまった。

 前所属のアル・アインから現所属のアル・ガラファへの移籍にまつわるクラブの不手際で、FIFA裁定で、本人がまさかの4か月の出場停止(13年11月6日から)と多額の罰金を課せられた。出場停止はクラブレベルに限るので、代表の国際試合ではプレー可能だが、W杯直前にクラブでの試合出場が見込めず、パフォーマンスの低下が大いに危惧される。

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