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W杯で目指すは名誉ある敗退? 圧倒的に期待値が低い豪州代表の実情

text by 植松久隆 photo by Hisataka Uematsu

軽率な行動で物議を醸したニール

 もう一人は、ルーカス・ニール。昨季途中から大宮に加入したが、思うように出場機会を得られず、シーズン終了を待たずに帰国、退団は決定的となっている。大宮入団前もそうだったが、再度、クラブレスの状態が続けば、こちらもコンディション面の不安が出てくる。

 しかも、ニールは先のコスタリカ戦で執拗にブーイングを続けるホームのファンに激高、あろうことか、試合中にいわゆる“Fワード”で応酬して物議を醸した。ニールは、「キャプテンシー」を評価されて代表に選ばれているだけに、その資質すらも疑われるような軽挙妄動は、彼自身の代表でのキャリアの終焉を招きかねない。

 オーストラリア・サッカーの世代交代の遅れは、若い世代の台頭が見られないということに最も顕著に表れている。若手と言われる世代で、「この選手が次代を引っ張る」というインパクトを残す選手がいないこと自体が問題だ。

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オーストラリアの基本フォーメーション

 6月の日豪戦でゴールを決めた快速ウィングのトマス・オア、ブンデスリーガでコンスタントに活躍するロビー・クルーズらが、その筆頭格なのだが、所属クラブでの活躍なども含め、日本の“欧州組”と比較すると正直劣ると言わざるを得ない。

 残りの6カ月で、未だ見ぬ超新星が登場しない限りは、大幅の戦力の底上げが見込めないというのも、オーストラリアの世代交代の遅れが蝕んだ病巣の深さを物語る。

 フォーメーションはヒディング来の伝統であり、ポスタコグルー自身もクラブレベルで勝手を知る「4-2-3-1」の形が基本となる。コスタリカ戦では、若いラッキーが1トップで先発、司令塔のポジションにブレシアーノ、両翼には、スピードがあり、ドリブルで持ち込めるクルーズとダリオ・ヴィドシッチという布陣。

 前線は、ワントップとシャドー・ストライカーの組み合わせも考えられ、その布陣でのファーストチョイスはケネディ、ケーヒルの両ベテランコンビになる。

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