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日本代表 10年前

吉田麻也が回想するザックジャパン。「トゥーさん(闘莉王)はビルドアップ能力も高い。自分は足りないところ多い」

text by 元川悦子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「サッカーやってて初めて退場したんで、頭が真っ白になってしまった」

 そして迎えた21日の準々決勝・カタール戦。日本の命運を大きく分けたこの一戦で吉田はまさかのレッドカードを食らってしまう。彼のミスキックをユーセフ・アフメドに拾われ、吉田がスライディングタックに行ったプレーがファウルとされ、2枚目の警告を受けた彼は退場。日本は絶体絶命のピンチに陥った。

 それでも香川真司がエースらしい輝きを見せ、同点弾をゲット。試合終了間際にも鋭い突破から伊野波雅彦の決勝戦を引き出す。吉田は香川らチームメートに救われる格好となった。

「2枚目は僕のミスで招いてしまった。相手のホームだしああいうジャッジになるのは分かっていたのに対応できなかったのは自分のミス。ホントにチームメートとサポーターに申し訳なかった。

 サッカーやってて初めて退場したんで、頭が真っ白になってしまった。ロッカーに戻って落ち着いてテレビを見て、勝ってくれるのを祈るのみでしたね。ただ、1失点目も対応でもミスがあったし、課題としている1対1でうまく対応できなかったのは悔しいです」と吉田は勝利に心から安堵しつつも、自分自身の未熟さを痛感したようだった。

 そして29日の決勝・オーストラリア戦。先発に復帰し、今野泰幸とセンターバックのコンビを組んで吉田は試合に入ったが、序盤からオーストラリアのロングボール攻撃に苦しめられる。

 韓国戦で右足第5中足骨骨折の重傷を追った香川を失った痛手も大きく、日本は攻撃もなかなか形を作れない。度重なるピンチに手を焼いたザック監督は後半11分、藤本淳吾を下げて岩政を投入。

 吉田と岩政の長身DFをセンターバックに配置し、今野を左サイドに回し、長友佑都を左MFに上げるという大胆策を採る。それが功を奏し、最終的に李忠成の決勝弾で王者の座を手に入れる。吉田麻也はこの大会を通して守備の要の1人と位置づけられたのだ。

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