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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第7回 未知への挑戦

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

何度も何度も熟考した末の結論

 開始1分で試合は動く。

 得点は渡邉のフォーストプレーから生まれた。要求通りボールを前につけるため、左斜め前にしっかりコントロールをして縦パスを入れる。引っかかりはしたものの、それがまた渡邉の前にこぼれ、味方選手とワンツーで深いエリアからセンタリング。宮内が受け、走り込んだ鈴木がワンタッチでゴールに流し込んだ。

 これで乗れたと確信した。正直この大一番での渡邉の起用は悩んだが、失敗するなら自分の信念を通すべきだという開き直りがあった。

 采配の良し悪しは結果論でしか語られないが、何度も何度も熟考した末の結論であったので、もしダメだったとしても自分では納得できる状態であったと思う。

 この日は異常に暑い日だった。序盤は相手右バックの選手からいい流れを作られかけていた。左サイドハーフのベテランの山根の対応が苦しそうだったので、右サイドハーフの鈴木とポジションを入れ替えた。

 この時期からとにかく、事実をどんどん拾うようにして、その場、その場での修正を試合序盤からもどんどんするようにしていった。選手の噛み合わせを変えることによって当然流れは変わる。

 もうひとつ良かったことは、選手達が試合中に自分達でFWの追う高さを変え、これが非常にはまったこと。追う高さを下げ、自陣の守るエリアを狭め、効果的にボールを奪えるようになっていた。

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