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連載コラム 10年前

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第7回 未知への挑戦

シリーズ:元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 text by 西村卓朗 photo by VONDS市原

スポーツ選手が持っている大きな武器

 チームの予算が決まっている中、今季のウェアー代金が運営費の何割かを占めるという異常な状況だったのでここも着手しなければならなかった。

 知り合いにはスポーツメーカー、スポーツブランドで働くものが多くいたので、ヒアリングから始めた。自分の見通しとしては、大手メーカーからすると関東リーグというのは投資の対象としては当然低くなる。そんなことはわかっていたので、まだJリーグとは仕事をしていないスポーツメーカーにこちらから売り込むことにした。

 何社かと話をしていると非常に条件の良い提案がいくつか出てきたので、来季の経費を抑えられることはこの時点で確信していた。あとは細部を詰めるだけだったが、ここで活きたのは現役時代の時にお付き合いをしてくれていた、友達や知人だった。そのような方たちからの紹介がなければ、当然いい条件は引き出すことができない。

元Jリーガー・西村卓朗の新たな挑戦 第7回 未知への挑戦
【写真:©VONDS市原】

 金額的には何百万円と違ってくることなので、メーカーとの契約はチームの経営に直接大きな影響を与えるものだった。

 その他にもまだ形にはなっていないが、広告宣伝用の応援自販機のメーカーへのヒアリング、打ち合わせ。施設整備に関わるTOTOの助成金についてのリサーチ。挨拶回りでは、大宮アルディージャ時代にお世話になった清雲さんがジェフに戻られたこともあったので、クラブハウスに行って社長を交えお話をする機会もあった。

 営業も相変わらずで、五井、八幡、姉崎近辺を毎日ように走り回る日々だったが皆人情に溢れ、好意的な方々が多かったので、元気をもらうことが多かった。人と話すことが好きな自分は営業には向いているのかなと最近では思うようになった。

 小さなクラブがゆえに多くの事を実務レベルで知ることになり、自分の向き・不向き、得手・不得手がわかるようになってくる。若い時にはとにかく難しいことにもチャレンジしていきたいと思っている。

 もちろん最初からうまくいくことばかりではないが、それは大概の場合は向き・不向きなんかではなく、慣れ・不慣れということが要素としては大きいはず。

「未知への挑戦」

 何かに挑んでいくマインドはスポーツ選手が持っている大きな武器。新しいことに向かう時にはそれを必ず思い出すようにしている。

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