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崩壊寸前のマンU。迷走するモイーズ監督の下で香川に未来はあるか?

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

モイーズ監督はリーグ杯優勝に賭けていたはず

 延長戦の後半終了間際、デヘアの痛恨のミスが飛び出した。サンダーランド右SBバーズリーが右足でとらえたシュートは、確かに強烈ではあったが、デヘアのほぼ正面に飛んだボール。だから、これをスペイン人GKがハンブルしてゴールラインを割った瞬間、スタジアム内に充満したのはマンチェスター・ユナイテッドサポーターの驚きのため息だった。

 ところがユナイテッドは「2分」と表示された延長戦後半ロスタイムの2分目に、エルナンデスが同点ゴールを奪取。昨季までのトレードマークだった、試合終了間際の劇的ゴールを決めて、2戦ともきれいにホームチームの2-1勝利と揃い、2戦合計3-3となってPK戦にもつれ込んだ。

 マンチェスター・ユナイテッドにしてみればまさに起死回生の展開。デヘアもPK戦で試合終了間際の痛恨のミスを帳消しにするチャンス。こういう状況ならまずマンチェスター・ユナイテッドがPK戦を制するだろうと思ったのである。

 その予感はサンダーランドの第一PKキッカーだったガードナーが枠を外してさらに強まった。そしてデヘアはPK2本をセーブした。ところが、結果はサンダーランドの2-1勝利。これでは冒頭紹介したお騒がせ男じゃなくても、熱烈なマンチェスター・ユナイテッドサポーターなら、泥酔のあげくファーガソン監督に直訴もしたくなるだろう。

 しかし、しつこいようだが、あの展開でPK戦、負けるか?

 少なくともモイーズ監督はリーグ杯優勝に賭けていたはずだ。

 1998年に監督になって以来、16年目で初めてつかんだメジャー・トロフィー獲得のチャンスだ。それに無冠を避ければ、今季不振に対する批判もかわせる。

 確かに相手はマンチェスター・シティだが、決勝は1ヵ月以上先の3月2日。ルーニー、ファンペルシーが復帰した上での1発勝負なら、全く勝ち目がないというわけではない。

 ところが、延長戦終了間際に同点にして、勢いに乗って挑んだPK戦で、1ゴールしか決められずに敗退。選手には、モイーズの”是が非でも決勝に行きたい”という気持ちが伝わっていなかったとしか思えない。

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