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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その3)

「全ての子どもがネイマールになれない。多くの子はプロにさえなれない」

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その3)
ビラ・ベルミーロの三階の一室には、ホワイトボードがあり、小振りな机と椅子が並んでいる一室がある【写真:田崎健太】

 成長年代の子どもは実に繊細だと彼女は指摘する。コーチからある子どもが最近、サッカーに集中できていないという報告を受けることがある。調べてみると、原因が親にあることが多い。

「親が子どもに期待し過ぎて、それがプレッシャーになっている。楽しいはずのサッカーが苦痛になってしまい、選手としての成長を妨げてしまう」

 トレビサンは選手の親を呼んで話をする。

「親を相手にする方がずっと大変よ。ブラジルではサッカーは全てに優先する傾向がある。でも、全ての子どもがネイマールになれない。このサントスでも千人に一人程度。多くの子はプロにさえなれない。冷静に考えれば分かることが、当事者には理解できなくなってしまう。まずは親の頭を冷やさないと、子どもも家庭も壊れてしまう」

 サントスの本拠地、ビラ・ベルミーロの三階の一室には、ホワイトボードがあり、小振りな机と椅子が並んでいる一室がある。この部屋では、学校の補習を行っている。教室の隣にある小さな部屋がトレビサンの部屋だ。

「親は子どもに、勉強はいいから、サッカーを頑張りなさいとハッパを掛ける。しかし、教育がないとサッカー選手になれなかった場合、その後の人生は暗いものになってしまう」

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