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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その3)

「行方不明になってしまう子どもも多い」

 補習で特に力を入れているのが、国語――ポルトガル語、そして算数である。サントスには全国から子どもが集まってくる。ブラジルは地域の学力差は大きい。地元の学校の授業についていけるように、二人の教師が補習を担当している。

 カテゴリーが上に進むと、遠征などで学校の授業を欠席がちになる。これを補うのもこの補習事業の役割だ。

「毎年、上のカテゴリーに昇格できずにサントスを去って行く子どもがいる。次のクラブが決まればいいなと思って見送っているの。でも、行方不明になってしまう子どもも多い。だから、サッカーが駄目でも他の道で生きていけるように支える。それが私たちの仕事。サッカー選手である前に一人の人間であることが大切」

 サッカー選手は生ものである。

 身体的能力が優れた少年を集めて、きちんとしたトレーニングを施してもいい選手になるとは限らない。精神的なサポートが不可欠である。特に貧富の差が激しいブラジルでは、子どもの抱えている家庭環境は千差万別である。彼らの背景を探る想像力が必要になってくる。

 トレビサンは口酸っぱくなる程、子どもにこう言い聞かせているという。

「様々なことを勉強して、良く考えなさい。ピッチの中でも色んなことを考える選手は試合の流れが読める。人生も同じよ」

【次週に続く】

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