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連載コラム 10年前

W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール。ネイマールの才能はいかにして磨かれたのか?(その2)

ブラジルからは優れた選手が山のように出てくる。競技人口も多いが、才能の取りこぼしも少ない。そしてその中からネイマールのような宝石も“発見”される。ブラジルではいかにして才能に磨きをかけるのか? ネイマールの源泉であるサントスを訪ねた。

シリーズ:W杯前に知っておくべきブラジルフッチボール text by 田崎健太 photo by Kenta Tazaki , Kenzaburo Matsuoka

「大切なのはボールを受けた瞬間の動きだ」

 現在、サントスは『メニーノス・ダ・ビーリャ』というプロジェクトを拡大している。ブラジルで約30ヵ所、日本を含めた国外60ヵ所でスクールを展開している。サッカーを幅広く教えるのと同時にスクールからサントスの下部組織に値する優秀な選手を集めている。

 選考は二段階で行われる。

 まず各スクールから推薦された選手を6ヵ月ごとにサントスFCの育成部門のスタッフが視察に行く。そこで才能があると判断した場合、一週間サントスの下部組織に入れ、更に精査、クラブでやっているか検討する。現在、サントスFCの下部組織は300人程度の選手を抱えている。

 この選手選考の最終決定を任されているのが、サントスの育成部門コーディネーター、リマはである。本当にいい選手か、これから伸びしろがどれだけあるか――リマはまず走り方をじっくりと観察する。

「サッカー選手として能力があるかどうかは走り方を見ただけである程度分かる。さらに大切なのはボールを受けた瞬間の動きだ」

 サッカーで最も大切な技術は、ボールをきちんと止めること、そして自分の狙ったところに蹴れること、この2点である。トップのサッカー選手はこの2つの技術を素早く、正確にこなす。

 そして、最も重要なのは判断力である。敵、味方の選手の位置を把握して、ドリブルで自らがボールを運ぶのか、あるいはパスを出すのか、シュートを打つのか――瞬時に見極めなければならない。

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