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長友佑都 10年前

マッツァーリ監督の下、磨かれるインテリジェンス。インテルの命運握る長友の“成長”

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Getty Images

効いていた長友の仕掛け

 これまで自陣を固められ、サイドや前線の連係を断たれた末に屈攻を繰り返した前節までの姿から、インテルは見事に修正を図った。そして長友もまた、縦の組み立てを意識するプレーを大胆にしかけていたのだ。

 勝たなければならないというプレッシャーからか、前半は多少堅さが目立っていた。特に21分、エルナネスやパラシオと上手く連係を駆使し、スペースを空けてカットインを試みる。

 ファーでは味方が何人かフリーになっており、ミドルも狙えそうなシーンだったが、迷った末に時間を掛けた挙げ句、結局再度パラシオへ返す。試合翌日のメディアには「長友は混乱していた」と批判したところもあったが、おそらくこの辺りのプレーを指してのことだろう。

 ただその一方で、縦パスを駆使した仕掛けは効いていた。特に40分、正対した状態でマーカーからボールを奪うと、前線で裏へと抜けようとしていたパラシオの足元に、正確で速いパスを付けた。

 ここからパラシオはスピードを上げて裏を破り、ライン際で折り返してミリートのシュートを演出している。長友が広い視野で味方を確認していたこと、そして2、3手先のプレーが出来ていたことの証だ。

 そういったプレーの数は、後半になってさらに増えた。中盤でボールを拾えば、前線にいる味方にすぐに付ける。目の前のパスコースが切られていれば、1対1を仕掛けた末に、スペースを突いてパスを出す。こうしてボールはパラシオやエルナネス、あるいは途中交代のボッタへ良い形で渡り、チャンスが演出されるのだ。

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