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2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第5回 山浦新(慶応大3年)

「こうして迷いが生じるのは、慶応に入った時点で決まっていたようなもの」

2015年の君たちは――。東京ヴェルディユース、花の92年組を追って:第5回 山浦新(慶応大3年)
【写真:編集部】

 11月23日のリーグ最終節、流経大との試合に向かうバスのなかで、山浦は本シリーズの第1回に目を通した。自分とまったく同じことを考えている。このまま終わりにしていいのかなぁと思った。

 昨季、慶応大は2部降格の危機にあった。山浦は6月に左足首を負傷し、ほぼ半年プレーしていない。リーグ戦の終盤にようやく復帰し、ラスト2試合、いずれも後半の切り札として投入されている。

 流経大との試合は2-2のドローで、慶応大は自力での1部残留を決められなかった。翌日、中央大が11位の日体大と引き分けた結果、慶応大は10位で辛くも残留を果たしている。なお、この試合、ボランチに入った渋谷のパフォーマンスは出色だった。

 相手の薄いところを突いていくボ-ルの動かし方。身体をねじ込んでボールを奪う粘っこい守備。声を枯らして味方を鼓舞し続け、終了のホイッスルと同時に、大の字になってピッチに倒れた。たぶん、大学3年間で最高の青空を見たはずだ。

 山浦は都内屈指の進学校、都立西高の出身である。慶応大にはAO入試(学科試験ではなく、面接、小論文、志望理由書などで合否が決まる)で入った。進路を決める際は、東京ヴェルディユースから慶応大に進んだ先輩、笠松亮太(浦安SC)のアドバイスが大きかったという。

「甘さがあったんです。こうして迷いが生じるのは、慶応に入った時点で決まっていたようなもの。自分の実力ではプロで通用しないかもしれないから、きちんと勉強もしておきたいと大学を選んだ。サッカーが強くて、いい企業にも入れそうな大学を。

 3年間、もっといい選手になりたいと取り組む一方、プロになるより就職したほうがお金を稼げるのではないか。その考えは、常に頭の一部を占めていました。サッカーをしているときだけ、そういうことを忘れて真っ白になれた」

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