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ポジションの概念を“消した”ペップ・バイエルン。敵地でも73%のボール保持、なぜこんなにも強いのか?

CLベスト16、アーセナル対バイエルン・ミュンヘンは0-2でバイエルンが勝利した。アウェイでも73%という高いボールポゼッション率で圧倒的な強さを見せたペップ・バイエルン。なぜこんなにも強いのだろうか。

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

ポジションの概念を超えた、異次元の動き

ポジションの概念を“消した”ペップ・バイエルン。敵地でも73%のボール保持、なぜこんなにも強いのか?
ロッベン【写真:原田亮太】

 ペップ・グアルディオラとバイエルン・ミュンヘンにとっては、チャンピオンズリーグ(CL)ですら、そのサッカーを完成させるための実験場なのかもしれない。

 2月に入り再開した欧州CLは、決勝トーナメントに突入した。2014年2月19日、圧倒的な強さで進撃を続けるドイツ王者バイエルン・ミュンヘンは、ロンドンのアウェイにてアーセン・ベンゲル率いるアーセナルと1stレグを戦う。

 バイエルンのスターティングメンバーは、GKノイアー、CBにダンテとボアテング、左SBアラバ、右SBラーム、ボランチにチアゴ、MFが右から、ロッベン、マルティネス、クロース、ゲッツェ、そしてワントップにマンジュキッチの4-1-4-1である。しかし前半からバイエルンは、布陣を示す4列表記という物の見方を、完全に否定するサッカーを見せつけた。

 ロッベンはその動きで、サイドアタッカーという自身のイメージを打ち崩した。右、中央、左、そしてまた中央、右、と絶え間なく動き続ける。ロッベンが右サイドに張り、内側へとラームが進入することがあれば、右サイドにポジションを取るゲッツェにボールを叩き、今度はロッベンがペナルティエリアの中へと進入する。ロッベンが、ゲームメイクもする。

 そして後方で起点となったのが、チアゴ、マルティネス、クロースのトライアングルだ。特に際立ったのは、右SBラームと、CBボアテングの間という、少し変わったポジショニングである。

 強いて言えばSBのポジションにクロースが陣取り、ラームを前へと押し上げる。ラームに相手は引きつられ、クロースは比較的自由に攻撃の起点となった。そこにマルティネスが入ることもあれば、チアゴが入ることもある。

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