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日本代表 10年前

日本代表にプラス要素をもたらすJリーガー。4人が持つチーム力をアップさせる4つの基準とは?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

複数ポジションをこなせる高山薫

[マルチロール]に関しては主力に複数のポジションができる選手が重要になるということもあるが、それだけでは既存の戦力を超えるものにはならない。その選手が出ることで代役以上の何かをもたらせる。そういう存在として期待しているのが高山薫(柏)だ。

 前線から左右のサイドハーフ、SBにいたるまでフィールドならどこでもこなすスーパーマルチだが、特筆すべきは量と質を伴ったオフ・ザ・ボールだ。川崎U-18から専修大を経て、2011年に湘南に加入。

 ユース時代に何度か観ていたが、さほど大きなインパクトは無かった。プロ入りして最初に彼のプレーを観たのはロンドン五輪を目指すU-22代表との練習試合だった。ザッケローニ監督も視察に訪れる中、モジャモジャの髪型をしたFWが驚異的な運動量で攻守に渡り異彩を放っていた。

 試合結果は5-0でU-22日本代表が勝利したが、その存在感に一瞬、彼の生年月日(1988年7月8日)を確認してしまったほど。五輪の出場資格は超えていたわけだが、その後は湘南の主力に定着し、今季からJ1での復権を目指す柏に移籍したのだ。開幕戦を取材していて目を見張ったのが、精力的な動きが攻守の流れにシンクロしていたことだ。

 スタート時は左サイドハーフだったが、逆サイドからクロスが上がる場面では必ずと言っていいほどゴール前に飛び出し、守備に転じるとすぐに駆け戻ってスペースを埋めた。同サイドで左SBの橋本和を上がらせる動きも見事で、移籍1年目とは思えないフィット感だ。後半は右SBに移り、周囲を幅広くサポートしながら縦の突破も許さない。攻撃はダイナミック、守備はタイトで、大柄ではないがフィジカルも強い。

 日本代表はどれだけ能力が高い選手でも、いきなり入ったら戸惑うことが多いとは知っているが、周囲と連動しながら時に攻撃を活性化し、また時に守備を引き締めるマルチロールとして、各ポジションで3~4番手ではなく、2番手以上の存在になれる選手だと見込んでいる。

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