フットボールチャンネル

日本代表“ベスト8”への道。対コートジボワール戦を読み解く

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ジェルビーニョの仕掛けは要注意

 3得点のドログバはタンザニアとの初戦でショートクロスにヘッドで合わせたゴールが流れからの唯一の得点で、残る2つはPKだった。ブラジルW杯では短期決戦で得点力が爆発する可能性もあるが、基本的にはポストプレーなどで、周りに決めさせる仕事がメインになっている。

 2得点のボニーとトラオレはジョーカーの位置付けになるが、ボニーは球際の強さ、トラオレは203センチの高さがあり、両者とも縦に抜けるスピードが非凡だ。ドログバより粗削りな部分はあるが、相手が疲れている状態で投入すると効果は大きい。攻撃陣の主力ではジェルビーニョだけが1点も記録していないことになるが、実はアフリカ予選において、攻撃陣でも最も危険な存在となっていた。

 最大の武器は変幻自在の高速ドリブルで、ボールを持って前を向けば複数の守備者が立ちはだかっても、鋭くも柔らかい動きで合間を抜けてしまう。得点こそ無かったものの、4アシストを記録。しかも4つあったPKのうち、3つはジェルビーニョがドリブルでペナルティエリア内に侵入し、ファウルで倒されたものだ。

 右利きながら、アクセントの効いた左足のタッチを織り交ぜて狭いところを突き破る。サイドからも中央からも果敢に仕掛けるスタイルだが、右からはボールを引っかけながら滑るように進み、そこから左足のタッチで一瞬にして縦を突く。この形でアフリカの屈強なDFたちは何度となく突破され、強引に止めようとすればファウルになっていた。

 彼のもう1つの特徴は、スピードに乗ったドリブルからタイミング良くパスを出せることだ。CKを任されるほど正確なキックを備えるジェルビーニョはホームのガンビア戦で、2人のボランチの間を突破すると、相手のセンターバックがチャージに来る瞬間に左へパスし、カルーのダイレクトシュートをアシストした。

 コートジボワールの攻撃陣は、主力の4人がしっかり個性を活かし合いながら相手ゴールに迫り、バランスを重視するラムーシ監督の指揮下でも迫力あるフィニッシュを実現している。

【了】

関連リンク

『日本代表ベスト8 ブラジルW杯・対戦国シミュレーション分析(サッカー小僧新書EX006)』(ガイドワークス)
クルピが日本とブラジルに見る夢
ザッケローニは日本代表を正しく導けているか?

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top