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日本代表 10年前

遠藤保仁の“切り札”起用の原点を探る。灼熱の中東で見せた攻撃センスの真骨頂と冷静な試合コントロール

text by 元川悦子 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「どうしてもイケイケになってしまうので、そこを冷静にコントロールしようと」

「決勝点のシーン? (ボールが)来たら、とは思っていましたし、いいところに流せたかなと。圭佑とオカがフリーなのは分かっていましたし、角度的に僕が決めるのは難しかったので、いいところに流し込めればいいかなと思っていました。

 後半は失点するまでピンチらしいピンチはなかったですし、追いつかれてサポーター含め、ああいう雰囲気にはなるだろうとは思っていました。セットプレーからでしたし、できれば与えてはいけない点だったかなと思います。

 その中でも落ち着いてやっていたし、最後まで10分切ってからも攻撃を続けました。もちろん勝ち切ることを目指してやっていましたし、時間帯によってはリスクを負わずに、というのは頭にありましたけど、全体的に雰囲気に飲み込まれず、全員が冷静に戦っていた。

 もう1点取りに行きたいからと言って、全体がリスクを負ってバランスを崩すことがなかったのが一番よかったと思います。ああいう感じになったら、どうしてもイケイケになってしまうので、そこを冷静にコントロールしようと思っていた。

 その結果、最後のチャンスもモノにできた。引き分けと勝ちでは全然違うので、勝点3が取れてよかったです」と遠藤は終始、冷静にゲームを俯瞰しながら戦っていたという。

 国際Aマッチ140試合超を数える超ベテランはどんな状況になっても戦況をしっかりと見極めながら、自分のやることを確実に遂行していく。年齢を重ねて走力・運動量の部分はやや衰えが感じられるが、こうした試合分析や判断力の老獪さは年々、凄味を増しているといってもいいだろう。

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