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日本代表 10年前

イメージトレーニングが活きたW杯最終予選。ザックジャパンを救った岡崎慎司の点取屋としての才覚

text by 元川悦子 photo by Getty Images , Ryota Harada

「監督の交代の意図は特に何も言われなくても分かる」

イメージトレーニングが活きたW杯最終予選。ザックジャパンを救った岡崎慎司の点取屋としての才覚
岡崎はシュツットガルトを出て、マインツへ【写真:原田亮太】

「佑都が2列目に上がる形は練習でもあまりトライしてなかった。だけどブラジル戦でも圭佑がトップに入ったりしたことがあったようなので、そういうケースもあるかなと。自分が1トップに入ることもあるし、流動的にいけばいいと思いながらやりました。

 監督の交代の意図は特に何も言われなくても分かる。それだけ出てくる選手の特徴をみんなが理解しているし、こいつはこうやったら生きると分かりあってる。それが日本のよさだと思います。

 シュツットガルトの試合では最近、サイドハーフということが多かったので、そのゴール前への入りだったり、最後に本能で突っ込めるところを突っ込めなかったりしていた。だけど練習では1トップや2トップをよくやっているし、ずっとゴールを取るためのイメージを膨らませていた。

 あとは決めるだけという部分がすごくあったけど、いいイメージを持って入ったからゴールにつながった。自分としては最低限の仕事ができたのかなという気がします」

 こう話すように、当時の岡崎はシュツットガルトでサイドハーフとして起用されるケースが多く、思うように得点感覚を研ぎ澄ませることができていなかった。それが2012年の日本代表での3ゴールという停滞につながったのだろう。

 岡崎はこのシーズンを最後にシュツットガルトを出て、マインツへ。「自分はサイドじゃない。FWで勝負したい」という思いから踏み切った移籍だった。この移籍によって彼の点取屋としての才能が開花し、13-14シーズンは通算9ゴールをマーク(3月14日現在)。

 念願の2ケタ得点へあと一歩と迫っている。本田、香川の2枚看板が所属クラブで芳しい状況にあるとは言えない今、ブラジル本大会で勝つためには絶対にこの男のブレイクが必要不可欠だ。

 岡崎の動向がザックジャパンの命運を大きく左右する。もしかするとこの男が日本代表の本当のキーマンと言えるのかもしれない。

【了】

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岡崎慎司の原点は少年時代にあり

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