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日本代表 10年前

イメージトレーニングが活きたW杯最終予選。ザックジャパンを救った岡崎慎司の点取屋としての才覚

ザックジャパンで最も点をとっている男、岡崎慎司。代表を何度も救ってきた彼のゴールはイメージトレーニングから生まれた。ドイツで不遇のときにもゴールのイメージを膨らませてきた。

text by 元川悦子 photo by Getty Images , Ryota Harada

「代表でやれる誇りを大事にしたい」

イメージトレーニングが活きたW杯最終予選。ザックジャパンを救った岡崎慎司の点取屋としての才覚
岡崎が生粋の点取屋が戻ってきたのは11月のW杯最終予選第5戦・オマーン戦【写真:Getty Images】

 2012年10月のフランス・ブラジル2連戦で世界トップとの大きな力の差を突きつけられた日本代表。この重要な2連戦に岡崎慎司(当時シュツットガルト、現マインツ)は左足親指負傷のため参加できなかった。

 常に貪欲に相手の背後を虎視眈々と狙うこの男の不在はチームの攻撃バリエーションを少なくし、得点への迫力を低下させた。ザッケローニ監督も「裏への飛び出しが足りなかった」と盛んにコメントし、岡崎の復帰を待ち望んでいた。

 生粋の点取屋が戻ってきたのは11月のW杯最終予選第5戦・オマーン戦。この時点で3勝1分の勝ち点10でグループ首位を独走していた日本がこの一戦に勝てば、5大会連続の世界切符獲得に王手をかけられる。そういう意味でも期待は大きかった。

 中東でのアウェイ戦はただでさえ難しいが、この時期のマスカットは気温35度超の猛暑に見舞われていた。すでに真冬の寒さを迎えている欧州でプレーする選手にとってコンディション調整は至難の業だ。ロシアでプレーする本田などは約40度の温差を1~2日の準備期間で克服しなければいけない。日本が苦戦してもおかしくない状況だった。

 けれども、試合前日に合流した岡崎は涼しい顔をしていた。

「思ったより体は重くなかったです。ピッチも全然イメージよりはよかったし、すごい暑さを想像してたけど、少し風もあって涼しかった。明日はどうなるか分からないけど、とりあえずは問題なさそうです」と。

 10月2連戦では久しぶりに代表を外から見ることになったが、ブラジル戦の惨敗を岡崎自身も重く受け止めていた。

「僕もみんなと同じことを考えました。やっぱり個の力でできるところをもっと増やさないといけない。僕も負けた気分になったし、頑張ろうと思いました。モチベーションも上がったし、代表でやれる誇りを大事にしたいんで、1試合1試合を大切にしたいと思います。

 自分はずっとゴールを狙い続けてますし、絶え間なく動いていれば相手にとって必ず脅威になる。それをやっていきたいです」と彼も改めて気合を入れ直していた。

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