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香川の恩師クロップ監督はマンU、バルサに適任か?哲学から適正・実現度を読み解く

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

ドルトムントで世界に衝撃。香川ら擁しブンデス連覇

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11-12シーズンはリーグ、カップの2冠に輝いた【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 翌08-09シーズンからは、一時は株式を上場する経営方針が大失敗し莫大な負債を抱えてクラブ消滅の危機に瀕した“かつての名門”ボルシア・ドルトムントの監督に就任。前年13位と低迷したクラブを6位に引き上げると、翌09-10シーズンは5位でヨーロッパリーグ出場権を獲得した。

 そして、10年夏の移籍市場で香川真司を獲得。その香川が瞬く間にチームにフィットすると、シーズン前半を圧倒的な強さで制してヘルプスト・マイスター(秋の王者)となった。

 香川は代表戦での負傷から後半戦は最終節の途中出場を除いて欠場。それでも着実に勝ち点を重ねて01-02シーズン以来のリーグ優勝を果たした。翌11-12シーズンも更なる強さを発揮してリーグ最多80得点を挙げ2連覇。DFBポカールと合わせて2冠を達成した。

 12-13シーズンから香川はマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したものの、新加入のマルコ・ロイスやマリオ・ゲッツェの活躍もあってチャンピオンズリーグ決勝に進出。バイエルン・ミュンヘンに敗れたものの、ベスト4でレアル・マドリーを下したパフォーマンスは世界中に衝撃を与えた。

 そのパフォーマンスこそ、クロップ監督を語る上で欠かせない「ゲーゲンプレッシング」だ。

 これは、ボールを失った際、一旦引いて陣形を整え直さず、その場でプレスをかけてボールを奪うという戦術。

 ドルトムントの攻撃は、ディフェンダーやゴールキーパーからの前方へのロングボールを合図に発動され、敵陣で相手にボールが渡れば全員が連動してプレスをかける。そうして奪い返したボールを一気にゴールまで運んでしまうのだ。

 このゲーゲンプレッシングに完璧にハマってしまったレアル・マドリーはジグナル・イドゥナ・パルクで1-4という大敗を喫した。さらに、今シーズンのベスト8でも2戦合計でマドリーが勝ち上がったものの、ジグナル・イドゥナでは2-0というスコアでドルトムントが勝利を挙げている。

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