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香川の恩師クロップ監督はマンU、バルサに適任か?哲学から適正・実現度を読み解く

text by 海老沢純一 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

香川には朗報もユナイテッドには不向き? 最も遠い存在のゲーゲンプレッシング

 ユナイテッドならば、もちろん香川に朗報だ。香川が最も輝けるのはクロップ監督の下でプレーした時であることは周知の事実である。ただ、ゲーゲンプレッシングは驚異的に早い攻守の切り替えと、スピーディーな縦への攻撃が必要となるため想像を絶するほどの運動量が必要となる。

 今シーズンの陣容で考えるならば、ベテランが多く、90分間ハイプレスをかけ続けるサッカーの経験が無く、これまでの栄光からある種「傲慢」になっている可能性が高い選手たちがすんなり受け入れられるかという疑問が湧いてくる。

 現所属の選手でフィットするは香川とウェイン・ルーニーの2人くらいだろう。ユナイテッドとクロップ監督という組み合わせは、恐らく最も相性が悪く選手の大幅な刷新と忍耐が必要となるはずだ。

 3、4年かけてチームを根本から作り直す意思がユナイテッドあるならば賭ける価値もあるだろうが、今シーズンを無駄にしないためにも来シーズンはデイビッド・モイーズ監督の続投がベストだろう。

 27年間も続いたアレックス・ファーガソン監督の後任は誰であっても苦戦するだろうし、結果が伴っていないだけで基本的なサッカー観はファーガソン監督とほぼ変わらないモイーズ監督の方がチームとして形になりやすいはずだ。

 ユルゲン・クロップ監督は、現在のサッカー界でトップクラスの存在感を放つ監督だ。それゆえ、今後も様々な報道があると思われるが、個人的にはこのままドルトムントで快進撃を続けてもらいたい。ブンデスリーガが1強支配の退屈なリーグにならないように。

【了】

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