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長友佑都 10年前

曲者攻撃陣を完全封鎖、守備で本領発揮。攻撃が“売り”の長友佑都が見せたDFとしての本分

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

DFとしての本分を果たす

 これに対して長友はすかさず彼に付き、そして前に出てクロスをカットした。これがなければ間違いなく押し込まれていたところで、追加点にも奪ったにも等しい守備だ。

 マッツァーリ監督からは「ビアビアニーがダイアゴナルに走ってくるから気をつけろ」と指示がなされていたのだという。戦術的な守備を集中し、安定してこなせるようになったところもまた、彼の成長が感じられる一部分でもある。

 この後マッツァーリ監督は、右サイドでやられ気味だったダンブロージオを下げサネッティを投入。ドナドーニ監督も素早く手を打ち、ビアビアニーを左へ持ってくるというえげつない采配をする。

 この際、右に付けられたのはスケロット。これまでも激しくやり合った相手とのマッチアップは厄介なものになるとも思われたが、彼自身がすぐに負傷退場。その結果ドナドーニはアマウリの投入を急ぎ、右サイドは空いた。

 もうこうなれば長友は、守備を気にする必要もない。がら空きになった右サイドを頻繁に攻め上がってリズムを作り、最後はグアリンの追加点をお膳立てした。

「内容が良くても負けたら意味がない。勝ったことが全て」

 試合後に長友はそう語った。しかし乱れた守備をしていてはそれも成り立たないわけで、90分間の集中が必要になる。この大事な試合で彼は守備者としての本分を果たし、相手の攻撃のキーマンを抑え切ったことに、大きな意味があった。

【了】

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