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長友佑都 10年前

緊迫感のある好ゲームで攻守に貢献、ピッチ上での修正能力を示した長友。次節ダービーの鍵握る本田とのマッチアップ

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

アンドレオッリとの不慣れなコンビにもピッチ上での修正能力を示す

 この日、彼が警戒の対象としていたのはカジェホン。ベニテス監督の誘いでレアル・マドリーから引っ張られてきた彼は、右から中へ絞り込む動きで13ゴールを荒稼ぎしていた。相手のマーカーからタイミングを盗み、フリーになってゴール前にポジションを取るのが非常に上手い選手である。

 その彼に、いきなりチャンスを作られる。1分、インシーニエの左クロスに反応しボレーシュート。これにはぴったりとくっ付いてシュートミスを誘うが、13分にはダンブロージオのミスパスを拾われてカウンターになると、カジェホンに素早くエリアの中へ逃げられる。まんまとフリーになった彼はシュートを放つが、ゴール左へ逸れた。

 普段であれば左CBとマークの受け渡しで、カバーに成功していたところだ。だがファン・ジェズスの故障離脱とサムエル、ロランドの出場停止で今季初先発となり、しかも「右は練習でもやったが左は慣れていない」というアンドレオッリと長友の間には、頻繁にギャップが出来て対応が遅れる。そこをすかさず迫力あるカウンターで突いてくるのが、ナポリの怖さである。

 ただその後、マッツァーリ監督は両者に指示。彼らはポジショニングの調整を行い、カジェホンもフリーにはならなくなった。彼に対する長友の対応も向上した。28分には突破を計るカジェホンに対し、ボールの前にしっかり体を入れて動きを止め、ボールを相手に当てつつゴールラインの外へ逃がす。

 37分にはラインブレイクしMFをチェックした後に、裏へ抜けようとしたカジェホンの動きを把握しつつ、パスの軌道を読んでヘッドでクリア。事前のプラン通りに行かないことが起こる中、ピッチ上で修正していったのはさすがだ。

 もっとも攻撃の上では、美しいトラップでミドルパスを足元に納めて攻めには行くものの、前半の2度のクロスは不正確なものに。サン・シーロの観客からもため息を呼んでいた。

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