フットボールチャンネル

【連載】サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』<第七話>11敗目に訪れた完全な崩壊、ついにくだされる監督解任の断。銀星倶楽部に救世主はあらわれるのか……

“従来にないサッカー近未来小説を世に送り出す”という新連載プロジェクトの第七話。FCイグラ深沢と合体し、新チームとなった女子部だが、キャプテン里昴の表情がなぜかすぐれない。心配する群青、副キャプテン桜花たちに、里昴は少しずつこれまで抱えてきたものを語りだす。一方、リーグ開幕戦から連敗が止まらぬ銀星倶楽部。チーム内から漏れ聞こえてくる監督批判。0-5という大差のスコアで11敗目となった試合後、群青はついに監督解任の決断をくだす……

前回までのあらすじ

tedd2+
Illustration by Katsura TAKADA

 パラグアイのクラブ「リベルタ」に所属する日本人サッカー選手「群青叶(ぐんじょう・かなえ)」は、南米大陸二大カップ戦のひとつ、コパ・スダメリカーナ遠征に参加。コロンビア西岸の都市カリにてベスト8進出をかけた決勝ラウンドに臨んだ。この試合でPKを外し、サッカー賭博に大番狂わせの結果を招いた群青は、大量の資金流出を余儀なくされた麻薬密売組織の怒りを買い拉致されるが、東京のプロサッカークラブ「銀星倶楽部」常務、松重崇(まつしげ・たかし)によって救い出され、帰国する。
 
「銀星倶楽部」オーナー上水流領(かみずる・かなめ)の死後、群青は同クラブの社長に就任。経営危機に揺れるクラブの再建に乗り出す。
 しかしカジミエシュ・チェシュラック監督の更迭とライバルであるインテルクルービによる彼の「強奪」、銀星倶楽部の女子部にあたるGEKKOコンピュータシステムサッカー部の解散とそれを批難するキャプテン栢本里昴(かやもと・りよん)の出現、インテルクルービへのスタジアムの優先使用権譲渡など、いくつもの予期せぬ出来事にさらされ、新米社長の群青はうろたえるばかり。
 
 問題解決を迫られる群青は、三軒茶屋で地元の愚連隊を取り仕切る男にしてスーパーマーケットチェーンの経営者、山田(やまだ)と出会う。彼なりの目論見で群青を援助したいと申し出てきた山田が知恵袋として呼んだ若い女子ホッケー選手、ミダイは、話し合いのためにやってきた里昴から、チームメイトに「蓮田(はすだ)チカ」がいると聞き、激しく動揺。血相を変え、チカに逢わせてくれと里昴に懇願する。銀星倶楽部女子部の練習場を訪れたミダイは過去にけがを負わせたことをチカに謝ると、チカはこれを受け容れた。
 
 ミダイと入れ替わりに外国人の少女――タチアナ、アリョーナ、サビーナ――がグラウンドに姿をあらわす。インテルクルービの練習と場所をまちがえたのだ。里昴のはからいでいっしょに練習をすることになったが、負けん気の強いチカとタチアナがとっくみあいの喧嘩を始めてしまう。群青が仲裁して事なきを得ると、腹違いの姉でありインテルクルービ専務の上水流奏(かみずる・かなで)がタチアナたちを迎えに来た。
 少女たちとともに車に乗せられた群青は、そこで奏から、銀星倶楽部強化部長の柳川(やながわ)が選手の移籍に際して不当に利益を得ていたことを知らされる。チェシュラックが銀星倶楽部を去り際に告げていたことはほんとうだったのだ。
 
 逃亡を図るべく成田空港から飛行機に乗ろうとしていた柳川を、群青と奏は間一髪で捉える。しかしその代償に選手獲得ルートを失ってしまった。
 ミダイのコネクションもあり、なんとかホームスタジアムを確保して開幕を迎えた銀星倶楽部だったが、セレクションで獲得した訳ありの選手と高卒新人ばかりのチームを新任の監督老松尚之(おいまつ・なおゆき)はまとめきれず、銀星倶楽部は第一節にしていきなり崩壊寸前に陥る。そして群青は残留の可能性がかぎりなく低い現実を思い知るのだった。

続きは、サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』特設サイトで。

エンダーズ・デッドリードライヴ

関連リンク

【新連載】サッカー近未来小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』全話紹介一覧
【新連載開始】業界を揺るがすカンゼン発オリジナルフットボール小説『エンダーズ・デッドリードライヴ』2029年、東京の覇権を巡る冒険

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top