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長友佑都 10年前

相次ぐベテランの退団。リーダー不在のインテル、長友に求められるキャプテンとしての資質

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

長友のキャプテン継承はあるのか?

 その先には、サムエルが。アルゼンチン組3人がクルバの下へ行き、別れの挨拶をする中、胸中にこみ上げるものがあったのか、彼は行くことを躊躇していた。そこで「行ってきなよ」とばかりに背中を押したのは長友だったのである。その後サムエルはサネッティらの輪に混じり、サポーターに手を振った。長友はその様子を後方から眺め、拍手をしていた。

 さて、これでインテルは3冠経験者が全て抜けることになった。そしてこれが意味するものは、チームにキャプテン経験者が2人しか残っていないということだ。一人はラノッキア、そしてもう一人は長友である。

 これは長友キャプテン継承という展開か?――と、こちらとしては期待してしまうが、アウシリオSDは17日の会見で「イタリア人で若く、現キャプテンと共通の価値を持っている」とラノッキアの名前を挙げた。在籍人数も長く、DFリーダーとしてチームを統率する役割に相応しい、と考えているのだろう。

 ポイントは、アウシリオが「イタリア人で」という条件を強調したことにある。これはおそらく、言語の運用能力に関してのことだ。チームの統率や審判とのディスカッションなど、キャプテンの仕事には「言葉」がかなり介入する。

 長友もこの4年間で相当に努力をし、今では取材対応も問題なくこなすようになったが、イタリア語のネイティブスピーカーや他のロマンス語圏出身者と同じレベルを求めるのはさすがに無理がある。

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