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日本代表 10年前

才能の宝庫ブラジルの育成法を関塚隆が分析。サッカー王国と日本、何が違うのか?

text by 木之下潤 photo by Kenzaburo Matsuoka ,editorial staff

ゴールを狙うことを習慣化させるような工夫

――ブラジルの育成年代をどう評価されていますか?

「一つのクラブやカテゴリーを長く見ていませんので、一概には言えません。ただ、ブラジルの寮では欧州サッカーの試合を放映しているし、多くの若手がヨーロッパで活躍しています。だから、欧州と比べても垣根は縮まっている。

 昨今のサッカーは時間とスペースがない中で、どんなプレーをするのかが重要です。そこは判断に委ねられるところだし、指導者もそれを身につけさせるためにアドバイスしている。だからといって、ヨーロッパナイズされるわけではなく、ブラジルらしさは失っていません。止める、蹴るという基本技術はもちろん、個々がストロングポイントをしっかり持っています」

――実際に目にされた練習で日本との違いを感じた部分はありますか? 例えば、日本だとパスを主体としたトレーニングをよく目にします。でも、ゴールがないままで終わってしまうことも多いです。

「私が見た限りでは、ゴールのないプレッシャーが少ない練習からゴールのあるプレッシャーがかかった練習へと段階を追って、1日のトレーニングが組まれていました。ただ、ゴールがない状態で1日が終わることはありません。

 例えば、3対2の練習も実戦を想定した二つの要素が入っています。自陣でのボール運びから敵陣でのゴール攻略へと、攻撃側はエリアで目的が変化しますし、守備側もボールを奪えばシュートを打つことがルール付けされています。

 ゴールを設定した場合、常に攻守においてゴールを狙うことを習慣化させるような工夫がされている。これがブラジルサッカーの基礎を作っているのだと感じます」

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