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ケネディら功労者にも容赦なく。変わる“サッカルーズ”。豪州代表、ベテラン勢落選の理由

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu , ©Melbourne Victory FC

ウィルクシャー、ケネディといった功労者も容赦なし

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ティム・ケーヒル【写真:Taka Uematsu】

 以上のような過程を経て発表された代表候補30名は、平均年齢25.53歳という今までのサッカルーズにはないフレッシュな顔ぶれとなった。

 2010年南アフリカ大会を経験した選手は、キャプテンのミレ・イェデイナック、お馴染みのティム・ケーヒルなど、わずか7名が残るのみ。大きく若返ったメンバーでは、30名中18名が代表キャップ数はひと桁、そのうち2名は発表時点で代表での出場がなかった。

 本来であれば経験が一番求められるディフェンスラインに、若返りの傾向が顕著に表れた。

 DF登録の8人のうち、ルーク・ウィルクシャーの80試合を除けば、マシュー・スピラノヴィッチの18試合が最多で残りの6人のキャプ数は軒並みひと桁台。この人選には、代表OBを中心にして「選手の経験値が低すぎる」との不安の声が上ったのも頷ける。

 それでも、ポスタコグルー監督はブレなかった。ブラジルに入ってからの最終選考では、DFラインで最も経験豊富な前述のウィルクシャーを切る決断を下す。

 レギュラーの右SBのイヴァン・フラニッチが壮行試合で負ったケガで万全でない状況で、右SBの貴重なバックアップの彼を切ってまでも、自らの選手起用への強烈な自信をアピールしてみせた。

 さらには、持病の腰痛でコンディションが戻らなかったジョシュア・ケネディの名前も最終メンバーのリストから外された。

 長時間の移動もままならず、トレーニングマッチも消化できないコンディションでは厳しいとの判断は、W杯出場を引き寄せる貴重なゴールを叩きだした功労者にも容赦はなかった。ケネディは失意のまま、その後のチームに帯同することなく帰国の途に就いた。

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