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暑さに苦しんだイタリアと日本。両国のW杯大会前トレーニングは正しかったのか?

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

走れなくなってしまう要素

 もっとも、その後については「おかしいことが生じている(トッフォルッティ)」という。コスタリカ戦では、出場選手トータルの走行距離がイングランド戦の110.4キロから6キロ少ない104.4キロに低下。

 選手は口々に「暑い」と訴えたが、カステラッチ主任医師は「そこまで“暑く”はないはず。選手には日照がこたえたようだ」と語っていた。“気温”についての想定はスタッフの間では出来ていたということがここからは伺える。

 トッフォルッティ氏は言う。

「パフォーマンスは、心理的な要因についても左右されることがある。それは実際選手自身も訴えており、調整では良好な数値を叩き出していた選手が実戦で走れなくなることも多々ある。陸上競技と違い、ボールを扱うチームプレーであるサッカーの難しさはここにある」

 なぜ走れなくなったのか。この問いについては、今後より詳細に掘り下げる必要があるだろう。

 さて日本代表についても、合宿地選定を軸にトレーニングについての批判が起こっている。グループリーグの試合会場だったレシーフェにナターウ、またクイアバとは異なり、サンパウロ近郊の涼しい環境に身を置いたことについての批判記事を多く目にした。ただこれも、一概に問題視することは出来ない。

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