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「伝説は永遠に生き続ける」。PK戦敗退もチームを讃えるコスタリカメディア。一方で指揮官続投は困難か

text by 池田敏明 photo by Getty Images

年俸高騰は避けられず。ピント監督の続投は困難か

 ガリア・モラーダというのはコスタリカの国花で、和名は「ムラサキヒノデラン」。その名のとおり紫色の美しい花を咲かせる。トゥリアルバは牧畜業が盛んな場所で、濃厚なチーズが名産だ。

 チリポ山は標高3820メートルの国内最高峰。山頂からは西に太平洋、東にカリブ海が見渡せる。名所や特産品に例えつつコスタリカの優越性を説いたこの一文は、国民にとって痛快だったに違いない。

 代表チームは8日早朝にサンパウロを発ち、ペルーのリマ経由でコスタリカに戻る予定だという。

 ヒーローたちの帰還を迎えるべく、空港には多くのファンが詰めかけるだろうし、同国サッカー連盟は空港からサンホセ市の中心部にあるエスタディオ・ナシオナルまでのパレードを計画しているようなので、こちらも熱狂の渦に包み込まれるはずだ。

 勇敢に戦って散ったメキシコやチリは、帰国時に国民から熱烈な歓迎を受けている。コスタリカでも似たような光景が繰り広げられるのは間違いない。

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ホルヘ・ルイス・ピント監督【写真:Getty Images】

 ただ、手放しで喜んでばかりいるわけにはいかない。今後を見据えた場合に大きな懸念材料がある。『ラ・ナシオン』紙のWEB版には、サッカー連盟関係者の話としてこう書かれていた。

「ホルヘ・ルイス・ピント監督には複数の国からオファーが届いている。財政面を考えると、彼が引き続きコスタリカで指揮を執るのは難しいだろう」

 ここまで見事に統制の取れたチームを作り上げたのだから、本来なら続投させ、継続路線を歩みたいところ。しかしこれだけの実績を残してしまったことを考えると、年俸の高騰は避けられない。

 現在の年俸は約4500万円と推定されているが、ピント監督側から倍増や100万ドル(約1億200万円)オーバーを要求されてもおかしくはなく、そうなると続投は難しいという。

 記事には「15日以内に何らかの結論が下されるだろう」と書かれている。しばらくは余韻に浸りたいところだが、次に向けての動きは早くも始まっているようだ。

【了】

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