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「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点

text by 宇都宮徹壱 photo by Getty Images

後任監督選定の前に失敗の総括をせよ

「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点
W杯視察に訪れた大仁邦彌JFA会長[右]と田嶋幸三JFA副会長[左]【写真:Getty Images】

 そして何よりの違いは、今回のザッケローニの招聘が、行き当たりばったりでもトップの鶴の一声でもなく、技術委員会主導による前回大会の検証と、今後4年間の方向性を見据えて人選が行われた結果であることだ。そこがジーコ招聘のプロセスとは明らかに異なるところで、ようやくわが国でも真っ当な代表監督選びができたことについては、純粋に評価されるべきであろう。

 問題は、今大会の問題点がきちんと検証されること、そしてその検証を踏まえて次期監督を招聘することだ。なぜ4年間の積み重ねが本番で発揮されなかったのか。采配以外の問題点はなかったのか。そして、今後も日本代表が攻撃サッカーを志向する場合、新監督に求められる条件は何なのか。それらがしっかり検証されない限り、新監督の就任発表はあり得ないと考える。

 ところが最近の報道によれば、すでに協会はメキシコ人指導者のハビエル・アギーレと交渉を進めており、間もなく正式発表の運びだという。もしそれが事実なら、8年前のオシム招聘と、実は状況が変わっていないと言わざるを得ない。

 なぜ、検証よりも先に人事が動いているのか。優秀な人材をできるだけ早く囲い込みたいという心理も理解できるが、新監督就任の祝賀ムードで現状をリセットしたいのではないかという邪推のひとつもしたくなる。

 次期代表監督の決定に関して、協会はその手順を誤ってはならない。ここで禍根の残すことになれば、その影響は4年後のロシア大会ではなく、8年後のカタール大会できっと露わになることだろう。そろそろ日本サッカー界も、8年周期の挫折のサイクルから脱却すべきではないかと考える次第だ。

【了】

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