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「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点

text by 宇都宮徹壱 photo by Getty Images

ジーコとザッケローニの発言の相似点

「自分たちのサッカー」とは何だったのか? ジーコ時代との相似点と日本代表を巡る8年周期の問題点
アルベルト・ザッケローニ監督は「自分たちのサッカー」を掲げ、日本の長所を活かすサッカーを模索した【写真:Getty Images】

 続く19日のギリシャとの第2戦。どんなに攻め続けても相手のゴールを割れなかったのは、これまた8年前のクロアチア戦を想起させる。スコアも同じ、0-0だった。

 そして24日のコロンビアとの第3戦。グループ突破のためには、裏の試合でのギリシャが引き分け以上で、日本はコロンビアに勝利することが最低条件だった。いったんは岡崎慎司の同点ゴールで望みをつないだものの、相手がハメス・ロドリゲスを投入すると一気に潮目が変わり、終わってみれば1-4であえなく大敗。スコアも同じなら、相手がGKを交代したことも含めて、これまた8年前のブラジル戦とぴったりイメージが重なる。

 極めつけは、第3戦を終えた会見での「もっとできると思っていたので、この結果はとても寂しい」という監督のコメント。これはアルベルト・ザッケローニではなく、8年前の日本代表を率いたジーコの発言である。結果として日本は、国民的な期待にほとんど応えられずに、グループリーグ3試合を戦っただけで8年前と同様、早々の帰国を余儀なくされたのである。

 ここで簡単に、8年前の世相を振り返ってみる。06年(平成18年)の出来事といえば、皇室の秋篠宮家に男子誕生-悠仁親王-、ライブドア社長の堀江貴文の逮捕、マンション耐震強度偽装事件、トリノ冬季五輪フィギュアスケート女子での荒川静香の金メダル、といったところが主なトピックスだ。ちなみに日本の総理大臣は、小泉純一郎から安倍晋三に代わっている。

 フットボールの世界は、4年周期で回っている。そして4年という時間は、この世界では非常に長く、重い。62年のチリ大会以降、W杯で連覇を達成したチームがひとつもないのは、4年の歳月がもたらす影響力の大きさを端的に示すものである。

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