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日本代表・惨敗の内実【その2】指揮官のサイド放棄で失われたバランス。柿谷の不調で狂ったプラン

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

「自分たちのサッカー」にあわせた柿谷曜一朗の起用

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裏へ抜けるタイプの柿谷【写真:Getty Images】

 それは多分攻め方とリンクしてくると思うんですよ。中央からの攻めが多くれば、当然ボールを失う回数も多くなる。そうしたらそこで奪い返した時に、素早く裏に抜けられるタイプのFWがいれば、得点を狙いやすくなるというところで柿谷が起用された。

裏を狙うといっても、青山が蹴るような後方からのロングボールを狙おうとして柿谷を起用したのではないと思う。選手たちがコンフェデ後に志向し始めたサッカーに合ったFWに変更するとなったときに、柿谷がはまったんだと思います。

飯尾 なるほど。

河治 そのときに、ザッケローニが当初からやっていた、サイドに起点を作りながら、というのはかなり消えた。

清水 コンフェデを見ていると、柿谷が入った理由は、押し込まれた状況から押し返せないというのが大きいと思う。一旦自陣に張り付いて、相手に回され始めると、そこから本田に当てても、遠藤が持ってもどうにもならない、というところで、一発で相手を押し返すという狙いがあったんだろうと思うんです。

河治 柿谷が選ばれた一方で、豊田も選ばれているけど、豊田についてザッケローニは、高い位置に張り付きながら奥行きを出せる選手だと評価していた。

清水 なんていうか、ただの深さを作るだけじゃなくて、相手が怖がって下がる選手が必要だったと思いますね。

飯尾 その一つの例が東アジアの韓国戦だったんですね。

清水 まさに、そうですね。

飯尾 韓国にあれだけ押し込まれていた試合を劇的に変えてしまったのが、柿谷の裏だと。

清水 そう。逆に言うと日本の2列目に、香川、本田、岡崎が並ぶと、誰もスピードがある選手がいないから前線に残っていても相手からしたら怖くない。最悪そこでフリーで持たれても追いつけてしまうから。ここは日本の泣き所だったと思う。

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