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香川真司 10年前

マンU「ICC」制覇も、2シーズンで失われた香川の輝き。「長いシーズン、必ず出番は来る」で満足か?

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

かつての輝きはどこへ? ユナイテッド移籍後まるで別人の香川

マンU「ICC」制覇も、2シーズンで失われた香川の輝き。「長いシーズン、必ず出番は来る」で満足か?
今大会の全体的なパフォーマンスでもマタと香川に優劣を決めるほど差はない【写真:Getty Images】

 ただ、この日のマタはゴールを決めたとは言え、それほどインパクトの残るパフォーマンスを見せたわけではなかった。同24分からマタに代わって出場した香川は、トラップミスで決定機を逃す場面はあったものの、光るプレーも見せた。

 今大会の全体的なパフォーマンスでもマタと香川に優劣を決めるほど差はない。それでも、香川はマタとの序列を覆すには試合を1人でひっくり返すほどのインパクトが必要だろう。監督が一度決めたことを変えるというのはそういうものだ。

 そう言う意味でも、やはり香川は移籍するのがベストではないだろうか。現在の状態を「良いプレーが出来ている」や「長いシーズン、必ず出番は来る」と言っている人々は、Jリーグやブンデスリーガでの彼を見たことがないのかもしれない。彼のキャリアはユナイテッドでスタートしたのではない。

 セレッソ大阪時代、大半をJ2で過ごしたとは言え、プレーもさることながらその存在感や持っている空気感はこれまでの日本人選手には無いものがあった。さらに、ドルトムント時代の香川は世界的に見ても特殊な能力を備えた選手だった。

 先のブラジルW杯で輝きを放ったドイツ代表のトーマス・ミュラーやマリオ・ゲッツェ以上に眩いほどの輝きを放っていたのだ。こんなにも早く、こんなにも凄まじい日本人選手が生まれたのかと胸を躍らせたファンも多いはずだ。

 しかし、12-13シーズンにユナイテッドへ移籍して以降、その輝きは完全に失われてしまった。確かに、プレミア初年度を基準に昨シーズンを低調とするならば、トップ下でプレーしている現在は及第点かもしれない。しかし、それ以前の彼とはまるで別の選手といっても言い過ぎではなくなっている。

 ゴール前の狭いスペースをワンタッチでかわしてすり抜けていく姿や、一瞬でスペースに飛び込んでゴールを決める姿はどこへ行ったのだろうか?

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