フットボールチャンネル

Jリーグ 10年前

アギーレ新監督に期待するトルシエ時代の再燃。今の日本サッカーに必要なのは“バトル”ではないか?

text by 大島和人 photo by Getty Images

ギャップと摩擦が財産になる

アギーレ新監督に期待するトルシエ時代の再燃。今の日本サッカーに必要なのは“バトル”ではないか?
アギーレ氏には我々に疑問符を投げかけるような、時に苛立たせるようなアグレッシブさを期待したい【写真:Getty Images】

 日本代表がメキシコ流を短期間で修得できるなら、それは嬉しい。日本サッカーの引き出しが増えるということは、私がアギーレ氏の登用に期待する部分でもある。ただ日本と近くて遠いのが、彼らのスタイルだとも思っている。アギーレ氏は国際的なキャリアを積んだ人物なので、安易なコピーはしないだろうが、そこで何かしらの衝突は起こるだろう。

「誰がトップ下をやる?」「本田圭佑と香川真司の扱いがどうなる?」といった“俗受け”するテーマに私はあまり興味がない。私が期待半分、不安半分で待っているのは“異文化との葛藤と受容“という、スリリングなチャレンジだ。

 準備の過程では、トラブルが多くてもいい。日本とアギーレ氏が不本意な形で訣別しても、それは決して異常事態ではない。むしろ4大会連続で(オシム氏の病気による退任はあったが)監督を途中解任しなかったという“無風状態”が異常事態ではなかったか。サッカーの世界では、中途の退任が日常茶飯事だ。

 サッカーの“中身”について我々がストレスを感じられるのは、むしろ幸せなことだと思う。ストレスとリラックス、緊張と緩和の繰り返しこそがスポーツの醍醐味であり、中毒性だからだ。アギーレ氏には我々に疑問符を投げかけるような、時に苛立たせるようなアグレッシブさを期待したい。そうすれば日本サッカーを巡る議論は活発になるだろうし、メディアだって盛り上がる。

 日本代表に可能性があるか、W杯ロシア大会で勝てるかというテーマは、選考と試合を見てから語ろうと思う。しかしアギーレ氏と日本の“ギャップ”が引き起こすバトルは、きっとこの国に何かを残してくれるはずだ。

【了】

j-ron_banner2

関連リンク

【日本代表アギーレ新監督に期待すること、不安に思ってしまうこと】「よくやった、娼婦の息子たち」ではマズ過ぎる。アギーレ政権勝利のカギはそのスラングにあり!?:ラテンとカリブを知る男・池田敏明(J論)
【日本代表アギーレ新監督に期待すること、不安に思ってしまうこと】鬼軍曹? 紳士? 記者会見で見えたアギーレ新監督の覚悟とは?:努力と根性の現場取材派・小谷紘友(J論)
リオ五輪代表、福岡に快勝。形にこだわらぬ『カメレオン・スタイル』の真意とは?:新進の福岡人記者・松尾祐希(J論)
J論とは?

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top