アギーレ新監督に期待するトルシエ時代の再燃。今の日本サッカーに必要なのは“バトル”ではないか?

毎週週替わりのテーマを肴に複数の識者が議論を交わす『J論』。今週のテーマは「日本代表アギーレ新監督に期待すること、不安に思ってしまったこと」。8月11日に行われた就任記者会見では強い意欲を語った新指揮官だが、新生日本代表の前に問題は山積している。会見から見えてきたこと、そして不安要素とは......。今回登場する博識の党首・大島和人がアギーレ氏から感じ取るのは衝突と論争の気配だという。しかし、それは決してネガティブなニュアンスではない。

2014年08月16日(Sat)10時00分配信

text by 大島和人 photo Getty Images
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尖っていたトルシエ時代を思う

 今の日本サッカーにもっとも足りないもの。それは“バトル”ではないだろうか――。

アギーレ新監督に期待するトルシエ時代の再燃。今の日本サッカーに必要なのは“バトル”ではないか?
日本代表の“オフ・ザ・ピッチ”が一番盛り上がったのは、おそらくフィリップ・トルシエ監督時代【写真:Getty Images】

 サポーターの振る舞いがどう、監督の退任と選手の移籍がどう、という論争なら私も日常的に見ている。しかし日本代表チームに限ると、この4年間はつくづく静かだった。アルベルト・ザッケローニ監督が、周囲との関係を平穏に保つ名手だったからだ。彼が選手やメディアに“喧嘩を売る“ことは皆無だった。

 日本代表の“オフ・ザ・ピッチ”が一番盛り上がったのは、おそらくフィリップ・トルシエ監督時代。彼の人格とサッカーは良くも悪くも特徴的で、いま思うとマスメディアから彼は相当に嫌われていた。逆に言えば、あれだけスポーツ新聞の売り上げに貢献した指揮官もいなかったのではないだろうか。

 これは何もゴシップ報道が増えればいいという意味ではない。トルシエの4年間はサッカーの内容、指導方針についても議論が活発化していた。インターネットコミュニティが勃興していた当時、マスメディアの対立軸として“ネット側”が浮かび上がっていた時期でもあった。あの頃にアウトサイダーとしてトルシエを熱く語っていた人が、今日では何人もサッカーメディアのインサイダーとして活躍している。ストレスフルな日々だったかもしれないが、あの時期に繰り広げられた論争は間違いなく人々のサッカー観を深め、視野を広げる契機になっていた。

 無難な人は日本代表を盛り上げないし、成功もさせない。変化は摩擦を呼び、摩擦は発熱を生む。過去に日本をW杯ベスト16まで導いた監督はトルシエ、岡田武史の2氏だが、彼らは過剰と思えるほどの批判と反発にさらされていた。トルシエ氏は2000年春に解任寸前まで行ったし、岡田氏も10年5月のW杯本大会直前に“進退伺騒動”があった。もちろんサッカーの歴史を見れば、過剰より無能で批判される指揮官の方が多いのだろうけれど――。安易に妥協しない人、メディアが理解できないほどに尖がっていると人だからこそ、監督は成功を収めることができるのではないだろうか。

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