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Jリーグ 10年前

複数得点を奪っても勝てない横浜FM。プレーに自信が見える徳島はもはや楽な相手ではない

text by 青木務 photo by Getty Images

チーム状態の上向きと共に点取り屋も波に乗る徳島

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フィニッシャーとしてチームに貢献しているFW高崎寛之【写真:Getty Images】

 徳島ヴォルティスはクラブ史上初のJ1挑戦だが、前節を終えて最下位に沈んでいる。17位・大宮アルディージャとの勝点差は7離れており、リーグで未だ勝点が二桁に届いていないのは徳島だけだ。

 昨シーズンのJ2を4位で終え、その後行われた昇格プレーオフを勝ち抜いて初昇格を果たした。しかし、J1では予想通り厳しい戦いを強いられている。

 開幕戦で5失点を喫し大敗すると、その後の試合も複数得点を奪われ、徳島のJ1初ゴールは5節まで待たなければならなかった。

 開幕9連敗は、延長戦が廃止されてからのワーストタイの記録だ。それでも10節のヴァンフォーレ甲府戦で記念すべき初勝利を飾り、開幕連敗記録も単独トップになる前に食い止めた。

 だがやはり実力や経験の差はあり、その後も勝ち星に恵まれず、中断前の戦績は1勝1分12敗。得点も3得点しか挙げられず、攻守ともに実力不足が浮き彫りになった。

 そんな徳島が、リーグ再開後は違う顔を見せている。1勝2分2敗と決して良くはないのだが、中断前より明らかにしぶとくなっている。15節の名古屋グランパス戦では先制されてから追いつき、18節のヴァンフォーレ甲府戦はドローに終わったものの、先制後追いつかれても一時は再び突き放している。中断前であれば、ずるずると敗れてしまったかもしれない試合でも勝点を拾えるようになった。

 ブロックを作って相手の攻撃を迎え撃ち、攻撃でも相手ゴール前のシーンを多く作れるようになっている。その中でフィニッシャーとしてチームに貢献しているのがFW高崎寛之だ。中断前はチームの総得点が3の中で彼も1得点に留まったが、再開後は5試合で4得点と爆発。徳島がこれから勝点を積み重ねていく上で不可欠な選手と言える。

 マリノスの中村は現在の徳島についてこう評する。

「徳島は頑張るチーム。これだっていうサッカーが見つかったような戦いをしている。向こうのホームだし盛り上がると思う」

 開幕連敗記録に並び、失点は多く得点は少ないというチームが、ここにきて攻守においておぼろげながら形が見えてきた。選手たちのプレーにも自信が見える今の徳島は、決して楽な相手ではない。

【了】

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