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日本代表 10年前

ザックジャパン、W杯招集外の功労者たち。前田、ハーフナー、中村憲剛、細貝らが支えた4年間

text by 河治良幸 photo by Getty Images

他にも多くの候補者。23人を選ぶ難しさ

 その部分で攻守にバランスの取れた山口蛍、パスセンスの高い青山敏弘が優先されたということだが、遠藤保仁は90分のハードワークが期待できず、長谷部誠はコンディションに不安があるなか、細貝をメンバーから外したことは中村と別の意味で大きなリスクだった。

 中村と細貝の両方を連れていくことは難しくても、せめて5人目としてどちらかを連れていけば、3試合のなかで試合の状況に応じた選択肢が増えていたことは間違いない。これは結果論ではなく、大会前からかなり想定できたことで、ザッケローニ監督も良く理解していたはず。

 だからこそ、メンバー発表の会見でそのことを語ったのだ。攻撃的なポジションに枚数を割いた一方で、守備のマルチロールである伊野波を有事のカードとして残した。それだけのリスクを負いながら、最後まで齋藤学を起用しなかったことは解せないが、23人を選ぶことの難しさを象徴するポイントでもあった。

 ディフェンスラインでも駒野友一、栗原勇蔵、槙野智章の3人は4年間の大半で代表メンバーに名を連ねていた。タイプによって起用法の異なるFWやザッケローニ監督が枚数に悩んだボランチと違い、純粋な競争で残ったメンバーが優先されたと考えて良い。

 しかし、経験があり確固たるキャラクターも持つ彼らが本大会で起用された場合、彼らなりの実力を発揮してチームに貢献していたことは間違いない。

 その他にもGKの5人を含め、多くの選手が招集され、ブラジルを目指して切磋琢磨してきた。彼らの努力や思いが本大会の好結果として報われなかったのは残念だが、この4年間で日本代表に招集された選手たち、代表候補としてキャンプに参加した選手たち、そして招集はされなかったが、諦めずに代表入りを目指したであろう日本人選手の全てに敬意を表したい。

 最後に予備登録のメンバーとして期限のギリギリまで準備を続けた林卓人、駒野友一、水本裕貴、中村憲剛、細貝萌、豊田陽平、南野拓実、彼ら7人も立派な“W杯戦士”であることを明記しておきたい。

(『フットボールチャンネル03』(8月5日発売)より)

【了】

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