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Jリーグ 10年前

4試合ぶり完封勝利の浦和。チーム全員が激しく戦い、守護神も好セーブを披露

text by 青木務 photo by Asuka Kudo / Football Channel

チームメイトを称える守護神・西川

 そして、やはりGK西川周作の存在感も特筆に値した。一度も危ない場面を迎えなかった前半から集中力を保ち、いつも通りビルドアップにも積極的に参加するなど、守備より組み立てで力を発揮していた。

 後半アディショナルタイムに訪れた大ピンチには西川が立ちはだかった。広島は縦パスをFW皆川佑介が落とし、走り込んだMF柴崎晃誠がシュート。時間を考えてもこれが決まればドローで終わっていたはずだが、西川がビッグセーブを見せた。

 この場面を振り返って西川はこう語る。

「先に動かないことだけを考えた。相手の方が有利だったので、しっかり構えて待っていました。先に動いて決められるのは一番やってはいけないことなので」

 シュートをストップしたのはこの守護神だが、「決して自分だけのセーブじゃなかった」と味方への感謝を口にした。

 広島のシュートまでの流れも素晴らしかったが、浦和の選手も必死に寄せていた。ここ数試合は寄せの一歩がわずかに遅れることがあり、それがピンチに繋がっていた。「練習からもちょっとそういう傾向があった」と西川は言う。

 だがこの日はバイタルエリアだけでなく、様々な局面で選手たちが戦えていた。

「今日は全体的に球際で強く行けていましたし、シュートの場面以外でも強く行けていた。セカンドボールは自分たちが取れていましたし、基本的なことなんですけど、一番大事だなと」

 当たり前のことを怠らずに実践した浦和。西川の言う通り、4試合ぶりの勝利はチーム全体で掴み取ったものだ。

 またこの日はハビエル・アギーレ日本代表監督が視察に訪れており、西川にとっては自らの実力を示す場となった。決して特別なことはせず、いつも通りのプレーを心がけた。

「チームが勝っていくことがいいアピールになる。アギーレさんが来たからといって、普段やったことのないことをしようとは思っていませんし、いつも通りのプレー、そして楽しむ気持ちを常に持ちながらプレーできている」

 既に日本代表の常連だが、まだ絶対的な存在ではない。序列を覆し正GKの座を掴むためにも、浦和でのパフォーマンスを維持することは絶対条件だ。リーグ優勝を目指す中で、西川の存在感はこれまで以上に大きくなっていくはずだ。

【了】

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