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日本代表 10年前

「南野君がいないから」は通用せず。U-19日本代表、4大会ぶりU-20W杯出場権獲得へ高い目標やビジョンを

text by 河治良幸 photo by Getty Images

パスの出し手も受け手もビジョン欠く。“連携不足”では進歩なし

 もちろん今大会に出場したアタッカーたちもパスを引き出す意識が全くなかった訳ではないし、ボールを持って前を向いたところから、積極的にドリブルを仕掛けてバイタルエリアを破りかける場面もあった。

 しかし、相手のディフェンスと駆け引きしながら、守りにくいところに動き出してタイミング良くパスを受ける、あるいはわざと厳しいところでパスを受けて守備を引き付け、スペースに味方を走らせるといった基本的な共有が中盤と前線の間で不足していた。

 確かにコロンビアの守備陣は1対1に強く、バイタルエリアで自由にやらせない意識も徹底されており、日本にとって手ごわい相手だった。

 しかし、翌日に行われた静岡ユースとの試合でも、川辺駿(広島)のスルーパスにセカンドトップの表原玄太(愛媛)が抜け出す形がはまって1点は決めたものの、出す側と受ける側の共有に関しては大きな問題が見られた。

「攻撃では相手の状況を見ずに味方も見ずに重なってしまったり、同サイドを攻めてしまったり。ボールを動かすサッカーが全くやれない」

 そう語ったU-19代表の鈴木政一監督は“新しい組み合わせ”を理由の1つにあげたのも分かるが、そういう状況を引き起こしている原因は別のところにある。

 いつどこを狙って攻めるのか、パスを受けて何をしたいのかといったビジョンが、パスを出す側からも受ける側にも欠けているか、あるいは伝えられていないのだ。タイミングのズレや出したい場面で出せないことを“連携不足”として片づけてしまったら、大きな進歩につながらない。

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