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Jリーグ 10年前

背水の陣のセレッソ、次節の相手は復調傾向の広島。苦境を脱するために何が求められるのか?

text by 青木務 photo by Asuka Kudo / Football Channel

重要なのは先制点。どんな形からでも得点を

 セレッソ大阪の2014年は大きな期待と共に始まった。昨年はJ1を4位で終え、今シーズンは本格的にタイトルを狙う年であり、FWディエゴ・フォルランという世界的ビッグネームを獲得して注目を集めた。現役ウルグアイ代表の加入以外にも、“セレ女”と呼ばれる女性ファンの急増など、オフの話題はセレッソが独占した。

 FW柿谷曜一朗、MF山口蛍、FW南野拓実ら若手のホープが多数在籍しており、タイトル獲得への意欲は十分。そこにフォルランという新たなピースが加わったことで、特に攻撃への注目度はどのクラブよりも高かった。

 だからこそ、今の順位に失望している人は多いだろう。前節を終えてまさかの16位。優勝争いどころかJ1残留に目標を下方修正しなければならない状況だ。ランコ・ポポビッチ前監督の目指すサッカーがチームに浸透せず、中断期間に指揮官が交代。新たにマルコ・ペッツァイオリ監督が就任した。そして、W杯後には柿谷がスイス・バーゼルに新天地を求めた。セレッソを愛する背番号8が海外移籍することは予想できたが、それでもエースを失ったダメージは大きい。

 おまけにキャプテンの山口も離脱中と、今のセレッソに明るい話題は少ない。

 元ドイツ代表FWカカウの加入が話題となったが、今のセレッソに必要なのは期待を抱かせるだけの選手ではなく、チームに勝利をもたらす選手である。カカウが実力者であることは間違いないが、いきなり結果を出せるかはわからない。

 前節の川崎フロンターレ戦では4-5と真夏の試合らしい激しい点の取り合いを演じたが、前半で1-4と3点差をつけられている。後半、布陣の変更などペッツァイオリ監督が修正を加えたことでセレッソは蘇った。その巻き返しは目を見張るものだったが、相手の気の緩みも考慮すべきだろう。そして、結果的に敗れたことも忘れてはならない。

 前節からポジティブな要素を探すとすれば、4得点を奪えたことか。それまで4試合無得点だったことを考えると、これがきっかけとなるかもしれない。

 ただ、川崎が常に得点を奪いに来たのに対し、今節戦う広島は引く時はとことん割り切ってブロックを敷く。何点も取れるような試合にはならないのではないか。

 先制点を与えれば広島の守りはより堅くなると考えられるため、セレッソにとって先に失点することは許されない。前節にようやく今シーズン初得点を決めた南野が出場停止なのは痛いが、必ずしも前線の選手が決める必要はない。セットプレーだろうが相手のオウンゴールだろうが、スコアを動かすことが重要だ。セレッソにまず求められるのは先制点だ。

【了】

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