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本田圭佑 10年前

「影響は重大なものだった」。TIMカップMVPの本田を讃える地元メディア。ユヴェントス戦はチーム単独最高の採点7

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

チームと濃い内容のトレーニング。調整は上々

 柔らかいタッチでゴール右上隅にダイレクトで決めた、ユヴェントス戦でのシュート。「ユーベは4バックのテスト中。オグボンナは本田のフリーランに付いて行かず、ボヌッチも詰めなかった。

 今までのような3バックであればデ・シーリオのクロスは通ってなかったはず」とガゼッタ・デッロ・スポルトは評していたが、DFの視野から上手く逃れてゾーンの隙間にポジションを取った本田の動きは確かに良かった。

 サッスオーロ戦でのアシストも質の高いプレイだった。前へ走り込むエル・シャラウイの動きを一瞬で把握し、その足元にきちんと渡るよう、コースや球威にも丁寧に気を配ってボールを蹴っている。またこの試合、そういったプレイは1度や2度ではなかった。

 当然、本田の今回のパフォーマンスは、あくまで練習試合でのものであることも考慮に入れなければならないだろう。1週間前はインドネシア遠征に出かけていたユーベの選手は全体的に体が重く、おそらく体の追い込みを今やっていたような印象だった。

 そしてサッスオーロはオープンな攻撃で挑んでいたが、シーズンに入ればなりふり構わずスペースを消し、本田が個人技を繰り出す余地すら事前に潰すチームばかりが対戦してくるはずである。そういった条件のなかでこの日のようなプレイが出来なければ、「結局変わってないじゃないか」という評価にもなり得る。

 ただ本田とて、条件は違う。昨季はロシアリーグでの疲労を抜く暇なく移籍し、戦術を理解しようにも練習はまともに取れず、しかも移籍直後に指揮官が変わるというチーム事情にも振り回された。

 だが今夏はチームとともに濃い内容のトレーニングを積み、調整が上手く行っていることは少なくとも証明された。果たして実戦でどう機能するのか、勝負は開幕のラツィオ戦だ。

【了】

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